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選抜選手の絵も描き終わり、今日でこの仕事もおしまい。あの日から結城さんと、会うことはなかった。担当も変更されていて、遣る瀬無い気持ちになってしまったけれど、触れてはいけない気がした。誠知くんも、何も言わなかった。

もう会えんくなるの寂しい、と大きな体を少し丸めたギータさんに、思いっきりハグされて、慌てながらも、ポーカーフェイスで引き離そうとする誠知くんを、内川さんがゲラゲラ笑った。そんな、今までより少し賑やかだった時間が、今日で終わると思うと、寂しい気持ちが強くなる。

笑わせてくれるみなさんが練習に出てしまって、ひとりぼっちで絵の仕上げをしていたとき。ふと、小さく遠慮がちに扉が開いた。反射的に視線を移すと、相変わらずかわいい彼女が、遠慮がちに立っていた。



「結城さん、」

「…お、久しぶりです」



少し戸惑いながら、困った笑顔が、やっぱりかわいい。ふわふわで、きらきらで、それでいて芯が強い彼女が、何を言いたいのかすぐに分かった。



「葵さん、本当に申し訳ありませんでした。私情を挟んだ上に、担当を外れるなんて無責任なことをしてしまって、」

「結城さん、」

「…情けないですよね、私。誠知くんへの想いが通じなかったから、臍を曲げて逃げたみたいですよね」

「…結城さん」

「でも、そうなんです、実際。ふたりを見るのが辛くて、逃げました。葵さんと会うのが気まずくて、担当を変えてもらいました。…本当に、どうしようもない、」

「……」

「…葵さんは、やっぱりすてきです」

「…え?」

「私が逃げ出しても責めなかった。私は葵さんに、こんな失礼なことをしたのに…。私だったら、仕事を投げ出したって、文句を言ってしまうと思います」

「…そんなに自分を、卑下しないでください」

「…本心です」

「本心だったとしても、自分を嘲笑ったりしないでください。結城さんは、私に持ってないものばかり持っていて、羨ましいです。それなのに、そんな風に蔑んだら、私は悲しいです」

「葵さ、」

「同情でも、嫉妬でも、勝ち誇ってる訳でもありません。ただ、私はこのお仕事をさせてくれた、きっかけをくれた結城さんには、感謝しかありません」

「……っ」

「…最後までご一緒できなかったのは、正直悲しかった。だけど、無理をして結城さんが壊れてしまうくらいなら、投げ出した方が良い」



彼女の瞳から涙が零れて、点々と地面を濡らした。

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aoi(プロフ) - みゆうさん» こちらこそです*楽しみにしています。 (2019年3月5日 1時) (レス) id: 1e8b3648c1 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさん» 見てきただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年3月4日 22時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みゆうさん» とてもありがたいお言葉ありがとうございます…!意識している部分でもあったので、嬉しいです*そして実は私、みゆうさんのおはなし拝見させてもらってます。私こそ更新楽しみにしています* (2019年3月1日 0時) (レス) id: ddb827d49e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさんの書く小説、主人公の見ている景色や生活の雰囲気だったり、想像力が膨らんで、心がほっこりする言葉の使い方が凄く好きです。更新楽しみにしています! (2019年3月1日 0時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年2月28日 23時

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