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葵ちゃん、いい子になりすぎちゃだめよ。上林くんと付き合うってことは、普通の恋よりリスクが高くて、妬みも多い。もちろん、誰かを傷付けることだって多いはずよ。だけどね、堂々としてなさい。葵ちゃんは、上林くんの気持ちを持ってる。それなのに、葵ちゃんがぶれてしまってどうするの。葵ちゃんの恋心を、誰かに隠されて傷付けられてはだめよ。



昨日の、マスターの言葉。ずしん、と胸に響いて、ずっと考えていた。でも考えても分からなくて、ただ分かったのは、私は誠知くんがすきだということだけだった。

そんな曖昧な気持ちで、四度目のヤフオクドーム。ふう、と一息吐いて、少し慣れた道を歩く。スタッフさんも顔を覚えてくれたらしく、葵さんこんにちは、と挨拶をしてくれた。

いつもの部屋に向かう途中、聞き慣れた声がした。かわいらしい声と、低い落ち着いた声。ああ、なんだか嫌な予感がしてしまって。つい、声の方へ足が動いてしまう。



ーーーやめた方が良い、私



そう言い聞かせても止まらない、気持ち。そのまま、廊下の角を曲がろうとしたとき。



「誠知くん、すきなの…」



そう、泣いているのだろう、か細い声がして。ああ、やっぱり。本能が知らせた声に従っておけば良かったのに。聞いてはいけないと思いつつ、聞いてしまう。



「咲、」

「ずっとずっと、誠知くんがすきだったの」

「……」

「誠知くんが葵さんと付き合ってるなんて、知らなかった。それからずっと後悔してるの。なんでもっと早く、気持ちを伝えなかったのかなって」

「……咲」

「もし、誠知くんと葵さんが出会う前に、私が気持ちを伝えていたら、私のこと好きになってくれた……?」



この後を聞くのが怖かった。こわくて、逃げ出そうとした。それなのに、漫画みたいに、ポケットにしまってあった携帯が床に落ちてしまって。

勢いよくこっち見るふたり。顔を出せなくて、身体が固まってしまう。それなのに。



「葵……?」



そう、だいすきなひとの声がした。なんだか、切なくなってしまって。思わず姿を出してしまう。



「ごめんなさい、聞いてしまって……」

「葵、」

「あの、…ごめんなさい」



それしか、言えなかった。何を言えば正解かも分からず、そのまま立ち去った。後ろから、あまり大きな声を出さない彼が、大きく私を呼んだ。

だけど、追いかけてきてくれることはなかった。

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aoi(プロフ) - みゆうさん» こちらこそです*楽しみにしています。 (2019年3月5日 1時) (レス) id: 1e8b3648c1 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさん» 見てきただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年3月4日 22時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みゆうさん» とてもありがたいお言葉ありがとうございます…!意識している部分でもあったので、嬉しいです*そして実は私、みゆうさんのおはなし拝見させてもらってます。私こそ更新楽しみにしています* (2019年3月1日 0時) (レス) id: ddb827d49e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさんの書く小説、主人公の見ている景色や生活の雰囲気だったり、想像力が膨らんで、心がほっこりする言葉の使い方が凄く好きです。更新楽しみにしています! (2019年3月1日 0時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年2月28日 23時

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