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「わ…!すごい」



誠知くんに用意してもらったチケットで、初めて足を踏み入れたヤフオクドーム。憧れ、期待、好奇、尊敬、たくさんの気持ちが入り交じった場所だと思った。観客の瞳は皆、選手に釘付けで、きらきらと輝いている。

うん、これは絵を描きたくなってしまう。うずうずした気持ちをぐっと堪えると、隣にいたマスターが小さく笑った。



「葵ちゃんたら、分かりやすい」

「ええ……だって、」

「うん、言いたいことは分かるわ。とても、色んな感情がある場所よね」

「うん、なんというか…すごい、熱気が」

「これが公式戦だと、さらに燃え上がるのよ」



たまらない、と言いたげにマスターは微笑む。意外と強気な部分があるんだな、と思った。だけど、ファンからしたら、勝利をあげてほしいから応援している訳で、強気な気持ちはきっと大切なんだろうと思う。

そんなことを考えていると、マスターが小さく声を上げて、手を振った。試合前練習をしているのは、ソフトバンクホークスの選手たち。その中で、手を振る、ということは。



「ちょっと、マスター」

「上林くんよ、葵ちゃん!」

「マスター声大きいよ…!」



バットを片手に持ち、ユニフォーム姿の彼。なんだか知らないひとのようだ。周りを気にしつつも、気付いてほしいマスターは手を振る。
用意してくれた良席は、選手がかなり近くで見える。だからって、こんな大勢の中から見つけられる訳、ない、きっと……



「あ!葵ちゃん!上林くん、気付いたみたいよ!」



簡単に見つかってしまった。誠知くんは小さく手を挙げて、私たちをしっかり捉えた。さらに近付いてこようものだから、本気で慌ててしまう。

どうしよう、周りのひと(特に女の子)を視線が痛い…!すっごい刺さるよ…!

肩身が狭くなってしまう私を他所に、誠知くんがとうとう前まで来てしまった。



「上林くん、がんばってね!応援してるわ」

「うす、」

「……誠知くん」

「…葵さん、」



キスぶりの彼が、少し汗ばんだ額を拭いながら、瞳に私を写した。ああ、うつる私は、きっと情けない顔をしているだろう。でも誠知くんは逸らさない。



「試合、がんばってね」

「うん」

「……あの、」

「ん?」

「えっと、その」

「葵さん」

「え?」


「ここが俺の誇りです。しっかり見ていてください」

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aoi(プロフ) - みゆうさん» こちらこそです*楽しみにしています。 (2019年3月5日 1時) (レス) id: 1e8b3648c1 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさん» 見てきただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年3月4日 22時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みゆうさん» とてもありがたいお言葉ありがとうございます…!意識している部分でもあったので、嬉しいです*そして実は私、みゆうさんのおはなし拝見させてもらってます。私こそ更新楽しみにしています* (2019年3月1日 0時) (レス) id: ddb827d49e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさんの書く小説、主人公の見ている景色や生活の雰囲気だったり、想像力が膨らんで、心がほっこりする言葉の使い方が凄く好きです。更新楽しみにしています! (2019年3月1日 0時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年2月28日 23時

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