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「ーーーうん」



分かってるよ、誠知くん。野球は誠知くんのプライドだよね。誇りであって、武器でもある。この世界で誠知くんは生きていて、戦っている。

野球選手の誠知くんを、しっかり見てってことでしょう。そして、野球選手としてのあなたを、私が支えられるかどうか、きちんと考えてほしいと、そう言いたいんでしょう。



「目に焼き付けます」

「……」

「誠知くん、」

「うん、」

「がんばって、誠知くん」



そう言うと彼は、口角を上げた。そのまま背を向けて、グラウンドへと戻って行った。

本当は知っていた。あまり調子が良くないことも。オープン戦の打率が上がらないことも。それを踏まえて、誠知くんは見ていて欲しいと言う。

良いときも悪いときも、特に悪いときのひとを支えるのは、難しいことがある。焦りや苛立ちを受け止めなければならないから。誠知くんはクールで、冷静を装っているけど、きっと分かりやすいひとだと思うから、だから。



「マスター、私ね」

「なあに、葵ちゃん」

「私、誠知くんにすきって言われてたの」

「まあ、」

「…誠知くんを支える覚悟を、今日この試合をみて決めたいと思ってる」

「…素敵なことよ、葵ちゃん」

「え?」

「支えることに覚悟を決められるひとは、きっと強いひとよ。そんな葵ちゃんだから、彼はあなたに惹かれたんじゃないかしら」

「そう、なのかな」

「ええ、きっと。葵ちゃんは朗らかだけど、芯がしっかりしているから。…上林くんは不器用じゃない?きっと、自分をしっかり持っている葵ちゃんに憧れたのよ」



微笑む彼女は、やっぱりなんでもお見通しだ。私で大丈夫なのかな、なんて言わせてもくれない。

小さく頷くことしかできず、頷く。



「ところで葵ちゃん、少し席を外さない?」

「え?」

「上林くんが来てくれたものだから、さっきから周りの視線が痛いのよ。写真でも撮られたらたまらないわ」

「え!あ、うん!そうしよ」


「彼と付き合うということは、こういう嫉妬、のような感情とも戦わなくてはいけないのね」


「え……?」

「この視線は、ちゃんと覚えておくこと。あなたが傷つかないためにもね」



困ったように笑うから、私まで自信がなくなってしまう。でも、確かにそうなのだろう。誠知くんは、人気者なのだ。野球選手は夢があるから、きっと、どこにいても大変なのだろうな。

痛い視線から逃げるように、私たちは席を離れた。

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aoi(プロフ) - みゆうさん» こちらこそです*楽しみにしています。 (2019年3月5日 1時) (レス) id: 1e8b3648c1 (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさん» 見てきただけて嬉しいです!ありがとうございます! (2019年3月4日 22時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - みゆうさん» とてもありがたいお言葉ありがとうございます…!意識している部分でもあったので、嬉しいです*そして実は私、みゆうさんのおはなし拝見させてもらってます。私こそ更新楽しみにしています* (2019年3月1日 0時) (レス) id: ddb827d49e (このIDを非表示/違反報告)
みゆう(プロフ) - aoiさんの書く小説、主人公の見ている景色や生活の雰囲気だったり、想像力が膨らんで、心がほっこりする言葉の使い方が凄く好きです。更新楽しみにしています! (2019年3月1日 0時) (レス) id: faf8ae436c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2019年2月28日 23時

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