11話 ページ13
*
『今日試合出られてましたよね。観てました、とってもカッコよかったです。』
裕「いえ、僕なんかまだまだですよ。」
寮の前にいるのだから選手に会うことはありえなくないのだが、まさか今日気になっていた選手が目の前にいる
兄にも言えることだがピッチの上ではあんなに闘争心をむき出しにしているというのに普段の姿は普通の男性なのがスポーツ選手の不思議なところだ
まあそういう切り替えができるからこそプロのスポーツ選手になれるのだろう
優「てかお前こそどっか行くのか?飯食ったんだろ?」
1人で考えごとをしていると兄は安部選手と話し始めた
帰るタイミングを完全に失ってしまった
裕「飯は食ったんですけどちょっと映画見に行こうかなって。明日オフなんでドライブがてらに。」
そう言った安部選手は少し落ち込んでいるようだった
優「まだ2試合目だろ。1年目でこの時期に初スタメンなんだから別に気落とすことないと思うけどなあ。」
兄も落ち込んでいることがわかったのかそんな言葉をかけた
人が悩んでいるというのに相変わらずこの兄貴は…
裕「いや、別に気落としてないっすよ。でもできるならフル出場したかったのが本音だと思います。」
少し漏れた18歳の青年の本音は下を向いているようにも聞こえたが前だけを向いていた
『なんかすごいですね、そこまで前向きになれるの。』
思わず口をついて出た言葉
しまったと思った
初対面のしかもプロスポーツ選手に言う言葉ではない
むしろ失礼だし、私は明らかに他人事だった
『ごめんなさい、なんでもないです。じゃあお兄ちゃんサッカー頑張って。安部選手も応援してます。』
私はそう言うと車に乗り込み逃げるように走らせその場後にした
48人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あや | 作成日時:2019年5月2日 21時