＊４９０＊ side chika ページ38
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大野さんへの想いを取り上げられたくないと
先生が、裕太と私の前で涙を流したあの日から数日
明らかに様子のおかしかった先生のことが心配で
ずっと気に病んでいたけど
お互い何かと忙しくて、なかなか会うことができなくて…
講義やバイトを無理やり遣り繰りして
久しぶりに顔を合わせてみたら
先生は、まるで別人のように変わってしまっていた。
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一目でわかるほど、泣き腫らした瞼
ひと回り小さくなってしまった、痩せ細った肩
どこかぼんやりとして、生気のない虚ろな目
その姿は、数年前大野さんの家を飛び出した挙句、
体調を崩して入院してしまったときの先生みたいで
病院のベッドで何日も目を覚まさない先生を思い出して
何だか怖くて、胸騒ぎがして…
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千「…先生」
「……」
千「…‥先生？」
「……」
千「…先生！」
「…‥、千花…」
千「千花、じゃないよ。何度も呼んでるのに」
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何度目かの呼びかけに、ようやく反応を示した先生は
私がここにいることすら気づいていなかったような状態で
その気まずさからか、ぎこちなく口の端を上げて微笑む。
痛々しいその笑顔に、私の胸はズキンと音を立てて
ただでさえ細い先生の手を取った。
そうしていないと、このまま先生がいなくなってしまいそうで…
さらに小さくなってしまったそれに、また悲しくなって
先生がどこにも行かないように、繋いだ手にぎゅ…っと力を込めると
そんな私を、先生は少し不思議そうな顔をして見つめたら
ふ…っと笑ったその笑顔は、やっぱりどこか消えてしまいそうだった。
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「…‥千花、は…」
千「…え？」
「……裕太くんが、…好き？」
千「…なに、突然」
「…、好き？」
千「…‥好き、だけど。どうしたの先生？」
「ふふ、…よかった」
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小さく笑って、その目を伏せた先生は
私の想いに応えるように、繋いだ手を弱々しく握り返すと
しばらく何かを思い巡らすように、その手をじ…っと見つめて
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「…‥千花？」
千「…なに？」
「……たとえ、…どんなことがあっても、」
千「……」
「…裕太くんの手を、…離しちゃダメだよ」
千「……」
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そう呟いた、先生の瞳は
…もう、何の色も映してはいなかった。
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ハルキ(プロフ) - ともさん» ともさん、初めまして(*´ω｀)♪この長いお話をはじめから読んでいただいたようで、ありがとうございます。長い上に暗いっていう…、何だかもう救いようがなくてスミマセン。次章からは少し違った展開が期待できると思うので、どうぞ最後までお付き合い下さい。 (2016年7月17日 0時) (
レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - ハルキさん♪はじめまして。ともと申します。イッキに拝見させて頂きました(^o^;)ドラマを観ているようでドキドキはらはら…涙流しながら(>_<)二人の健気さに微笑ましく思ったり時にはイライラしたり…更新を楽しみに待ってます。 (2016年7月14日 8時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - 咲優さん» 咲優さん、いつもありがとうございます(*´ω｀)♪もうみなさんからのコメントもめっきり減るくらい、先の見えない暗〜い展開ですが(笑)、次章では少し光もみえてくる…かな？若いのに、千花ちゃんと裕太くんの方がよっぽどしっかりしてると思っているハルキでした(笑) (2016年7月9日 3時) (レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
咲優(プロフ) - ハルキしゃん♪おひさしぶりーふ(笑)いや、そこ迷うとこチガウ！千花ちゃんはよ連絡してー！って叫んでもうた(笑)このお話ももう移行なのね(*´ω｀*)楽しみに待ってますね♪ (2016年7月8日 8時) (レス) id: 4728198315 (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ(プロフ) - 咲優さん» 咲優さん、先程アイスのコメントにレスさせていただきました！レスが遅くなり申し訳ないです(>_<) 本当にこちらのふたり、ここからどうやってハッピーエンドになっていくんでしょう…←お前がな 涙チョロリな展開ばかりですが、どうぞ信じて待っていてください！ (2016年6月19日 10時) (レス) id: b6e2b0db31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハルキ
| 作成日時：2015年12月13日 0時
