影山君と青城マネちゃん[HQ]

36*三半規管 ページ37

タオルやビブスを洗い、干していると何故かパイプ椅子持参で及川さんが来ている。
花巻さんに聞いて、金田一脅迫して私の彼氏が飛雄だと探ったそうだ。


｢どうして飛雄と付き合っている事内緒にしてたの？｣

｢言う必要はないと思っていただけです
…金田一達には及川さんに言わないでって口止めしましたけど。｣

｢だから、なんで？！｣

｢…及川さんは昔から飛雄に意地悪してたし、それをネタに私に構ってきそうで。｣

｢なっ、え？ちょっと…流石の及川さんももう大人だし？そんな事しないから！｣

｢…隠していた事は謝ります？｣


なんで私が謝るんだ？と途中はてなマークが浮かんだ。なんでだろ…？
全てを干し終えて、洗濯かごを手に体育館に一度戻ろうとしたのに、服の裾掴まれてて…


｢部活の時間ですよ。｣


そのまま腕を掴まれ、逃げようとするもゴリラ並みに強い人から離れられず…結局抱き締められている。
瞬間、鼻をくすぐる匂いに焦り｢離して！｣と距離を保つ


｢…なんでよりにも寄って飛雄なの？｣


いつものふざけた雰囲気でもなく、どこか冷めた口調で責められている気分だ｡
この人が何を考えているかなんて到底わからないし、知る気はなかった。


｢好きだから。｣

｢A、俺はさかわいいお前には幸せになってほしいって思っているの。
言いたくないけど飛雄は天才だし、バレーの事しか考えてない。｣

｢…｣

｢将来的にもその道に進むと思う。
今後寂しい思いも我慢もしなきゃいけないのはAだよ。｣



そんな先の事…いや先じゃないのかな？
白鳥沢の牛島選手はユースの日本代表になっている。
選ばれさせすれば飛雄だってそう言う道を進む事もあるはず。


｢飛雄がどんどん離れて行って寂しいって思うことない？｣

｢!!｣

｢既に感じちゃっている？
今までずーっと一緒にいて、高校から離れちゃったし。｣


好きって気持ちだけでは飛雄とは共にあれないのだろうか。
もしかしてこれから先の未来、私は邪魔になるのだろうか…


｢及川！何してんだ!?
早く来い！｣

｢ごめーん、岩ちゃん。今いくよ〜。
ほら、Aも行こう｣


ニコニコな顔。


本気の発言か揺さぶりなのか分からないけど、本っ当ブスブスと容赦なく刺して来る。

ただ、無きにしも在らずな未来。

お陰でほんの少し…足元がふらついた。

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