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「な、んで、なんで来たんですか！」
そこにはAクラスの全員が来ていて。夕闇燈を嫌っていたはずの及川先輩でさえ来ていた。
声を荒らげて叫んでも、先頭にいたテツ先輩は優しく笑うだけだった。
私は今どんな顔をしているのか。多分、酷い顔だ。
本当に、会いたくなかったんだ。もう、決めていたのに。皆を殺すことも、覚悟していたのに、揺らいでしまうから。皆を裏切りたくない。でも、独りだった私の傍にいてくれた夕闇燈も、裏切りたくないの。
わがままが通るなんて、思ってないから。
弱い自分を隠したかったんだよ。
「A」
テツ先輩は笑って、私に手を差し出した。でも、その手は、私には取れない。穢れた手で、テツ先輩手は取れないよ。
本当に弱いなぁ、なんて、今考えるべき事とは全く違うことを考える。もう、こんな状態になって今更何を考えるべきなのかは分からないが。
「ごめんなさい。手は取れない。早く、逃げてください、貴方達に、死んで欲しくない」
そう早口で言う。多分、誰もなんで私がそう言ったのかは分かっていない。もうすぐ、王国軍が来る。
魔法騎士ではない、別の軍が。
「いたぞ！！打て！」
そう、怒号が聞こえる。
「打つな！人がいる！！」
「な？！何故人がいる！？」
どうやら私は人とは思われていないらしい。人じゃないとしたらなんだろうか。バケモノか何かだろうか。
「早く、逃げてください。お願いです」
「絶対戻ってくる！！」
戻ってこなくていいです、と心の中で呟いて、笑う。それから、飛行魔法で飛ぶ。
「良し！人がいなくなったぞ！！打てぇぇぇぇぇぇ！」
どんっ、と、地面が轟く。大砲が迫ってくる。魔力は………………ない。
キイィィン……
夕闇燈が、無数に打ち込まれる大砲を全て防ぎきる。
慌てふためいた声と、叫び声が聞こえる。
バケモノ、なんて声も聞こえて、やっぱりね、なんて笑ってしまう。
笑えることではないのだが。
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作者名：凛花 | 作成日時：2017年1月9日 16時
