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「憑依して、朱雀」
その一言で、剣が出てくる。それと同時に身体能力が大幅に上がったのが分かった。
東峰先輩の魔装は手と腕、足のみ。恐らく肉体強化の為だ。
なら急所を狙えばいいだけだ。強く剣を握り走り出す。
「シルフ、撹乱して」
召喚魔法でシルフを呼ぶ。シルフは風を操る精霊だから____
当然舞い上がった砂と風で目くらましになる。
東峰先輩の後ろに回り込み、心臓に向けて剣を突き出す。それで終わりのはずだ。
「なっ」
が、それは素手で止められていた。思いの外魔装が硬かったようだ。剣を掴まれたまま足で蹴りを入れられそうになり、避ける為に剣を離す。
「泥人形よ」
東峰先輩がそう言うと、足元から操り人形のような不気味な動きをする人形が出てくる。
人形がそのまま私の足を伝って這い上がってこようとしている。
「燃えて!」
人形を燃やす。無属性特有の能力であるコピーだ。東峰先輩が不機嫌そうに眉を寄せる。
今剣を持っていない私に東峰先輩を殺す事はできない。どう動くべきか、悩んでいる間に後ろに回られる。そのまま剣で…………って
「ちょ、東峰先輩それ触ったら呪われ……!」
東峰先輩が持っていたのは私が使っている剣だ。召喚魔法の応用で、契約した者以外扱えない事になっている。万が一扱えたとしても呪いが発動するようにしてある。
「えぇ!?そ、そうなの!?」
驚いて離した剣が地面に突き刺さる。私ははぁー、とため息をついて手を額に持っていく。
「あぁもう。私の負けなんでさっさとこっち来て座ってください」
「はい……」
ちなみに座ってもらったのには特に意味は無い。ただ単に届かないだけで。身長足んないんじゃ。
基本的に解呪をする時は頭だ。
東峰先輩の頭に手をかざし、呪文を唱える。形代を用意してそれに呪いを移す。それで完了だ。
「終わりましたよ」
東峰先輩に声をかけてから形代を燃やす。ありがとうと笑いかけられて、いえ、と答える。
周りを見ると、もう戦っているペアはなかった。
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作者名:凛花 | 作成日時:2017年1月9日 16時