101 大きな背中 ページ5
『本当にすみません…』
澤村｢いや、いいんだ。家近いしな｣
私は今、澤村先輩に背負われながら帰宅している。
足の痛みは一時的なもので、まぁ、少し腫れてはいるものの冷やせば何とかなるだろう。
…慌てて救急車を呼ぼうとした田中先輩を止めるのが大変だった。
澤村｢足…大丈夫か？｣
『はい、大丈夫です…』
澤村｢……無理はしないでくれ、頼むから｣
『…え、………はい』
背負われているから顔は見えないが、少しだけ怒っているのはわかる。
そりゃそうだよな、もう少しで日向か影山が怪我をするところだったんだから。
澤村｢…あのな、A。お前がしっかり者で正義感が強いことはいい事なんだ、でもな、あぁ言った男の喧嘩に首をつっこむのはやめてくれ｣
『…でも、あの場で誰かが止めなかったら日向か影山が怪我して』
澤村｢お前は女の子だろ！！｣
『っ！』
怒鳴るような声にびくっと驚く。
立ち止まった澤村先輩の私の太ももを支える腕がかすかに震え始める。
澤村｢…どう考えても男よりはか弱いんだ。怪我する様なことだけはやめてくれ、頼むから｣
『………澤村先輩』
か弱いとか…初めて言われた。
そんなに心配してくれるんだ、さすが主将だなと思う。
しばらく無言が続き、ゆっくりと歩き始める。
そして澤村先輩は、申し訳なさそうに口を開いた。
澤村｢…悪い。怒鳴る気はなかったんだ、許してくれ｣
『…いえ。私も…気をつけます』
澤村｢そうしてくれ…｣
『………』
澤村｢……………あの、さ｣
『はい？』
澤村｢………Aって呼んでもいいか｣
『え。あ、はい…かまいませんけど』
澤村｢そっか…ありがとう。俺のことも大地でいいよ｣
『だ、大地先輩？』
澤村｢……ん、それでいいよ｣
な、んだこの甘い空気は！！
初めて味わう甘い空気に、かぁぁ、と顔に熱が集まり始める。
やばいこれはやばい。
澤村｢………ん？なんか心臓の音が｣
『大地先輩って、モテるでしょう！』
澤村｢は？どういう意味だそれ｣
『…優しいし、頼りがいありますし』
澤村｢………それは、人によるぞ？｣
『え"、そうなんですか！？意外だな…誰にでも優しそうなのに』
澤村｢ははは、そんなことあるわけないぞ。好意を持っている相手にだけだ｣
『そうなんだ……』
澤村｢あぁ、だから、だな、その……｣
あれ、何か眠たいな………。
大地先輩の声が遠くなる………。
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shiba(プロフ) - たぬさん» ありがとうございます！がんばりますね(^^) (2020年7月11日 17時) (
レス) id: 45bc59818c (このIDを非表示/違反報告)
shiba(プロフ) - 眼鏡さん» 一気読みお疲れ様です、ありがとうございます笑 (2020年7月11日 17時) (レス) id: 45bc59818c (このIDを非表示/違反報告)
たぬ - とても面白かったです！これからも更新がんばってください！ (2020年7月11日 0時) (レス) id: d6cceb38db (このIDを非表示/違反報告)
眼鏡(プロフ) - とても……よい……一気読みしちゃいました！更新楽しみにしてます！がんばってください！ (2020年7月10日 16時) (レス) id: 57188926ab (このIDを非表示/違反報告)
shiba(プロフ) - まうさん» そう言っていただけて感激です！これからも頑張るんでよろしくお願いしますね(、._. )、 (2020年7月8日 21時) (レス) id: 45bc59818c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shiba
| 作成日時：2020年7月8日 15時
