summer song . (ページ21)

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萩谷side

曲作りをしようと思い、部屋に入ると

「あ、ほんとだ！弾きやすい！」

だなんて、笑顔を見せるあいつと
仲のいい男がいた。

「あ、あの、キーボード教えてもらってて…」

なんて目も合わせず言うあいつに

「どうぞご自由に」

なんて冷たく言い放つ。

俺は前のボーカル、顕嵐の元カノの
歌ってるところが好き、というか
ほんとは少し気になってたかもしれない。

いつも明るくて前向きで…
それが歌にもよく出てて。

それだけじゃなくて、ちゃんと
切なさとか苦しさも出せる魅力的な人だった

それに比べたら、こいつは

いつも自信なさげで、すぐマイナスなこと言うし、可愛げないし、彼女とは正反対で、正直嫌いだった。

だから、冷たくしてた

でも。

段々と実は、明るくて、よく笑うとこや

見えないところで、努力してるところ

以外と負けず嫌いなところを知るうちに

目で追ってしまうことも増えた。

ほら、今だって全然、曲作りが進まない。

あの男に可愛いって言われて、触れられて、顔を真っ赤にしてる。

…俺、絶対、挑発されてる。

シーーーンとした部屋で、二人きり。

可愛くなったなんて、素直に言ってみると

顔を赤くして、嬉しくないなんて言う。

さっきの男に言われたときの違いに、

若干、腹を立てながら

またパソコンに向かった。

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