見初められたは良いんだけど私には荷が重すぎたようで 【鬼灯の冷徹】

鬼「そうですか、彼女が…」 ページ14

「鬼灯様っ！」

小走りで鬼灯に近づく書類事件の彼。

鬼「はい、なんですか？」

「書類がまとまったので、提出しに来ました」

そう言ってわりかし厚みのある書類を鬼灯に差し出す。

礼を言って受け取り、パラパラと確認していた。

のだが、急に手が止まる。

「あ、あの、鬼灯様？」

鬼「…この書類なのですが」

見せられたのは、問題の34枚目。

提出した本人は、わざとらしいくらいぎくり、と肩を揺らした。

まさか、彼女は適当言っていたんだろうか。

一抹の不安が募る中、鬼灯は一切遠慮せず二言目を口にする。

鬼「当初の作成様式と違うのですが…何故作り変えたんですか？」

質問の形式はとっているものの、
【正直に答えなかったらどうなるかわかってるんだろうな】
という問答無用のオーラが出ている。

色をつけるとしたら真っ黒だ。どす黒い黒だ。

誤魔化しは死に直結する。中々的確な判断で、彼は先刻の出来事を話した。

話終え、少し間をあけ、鬼灯が言葉を発する。

鬼「…さして重要ではなかったとはいえ、書類を紛失した貴方の再教育は考えておきます。
そうですか、彼女が…」

少し自分の家族に遺言を遺そうかと考えている彼をよそに、鬼灯は顎に手を当てて何かを思案している。

鬼「…分かりました。ありがとうございます」

そう言い残し、鬼灯は何処かに歩いて行った。






因みに、後日の再教育で、彼は一命は取り留めたという。

妥協も時として必要→←それは…やばい…

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