「私物凄いクズみたいな行動取ってない? 私がこんな奴に会ったら確実にぶん殴ってるわ」 ページ26
老婆は暫しマスクマン一同とひそひそ話してからおもむろに道を開け、「通りな」と言った。
「あ、一応確認しとくけどさ」
すれ違いざまに老婆を振り返り、少しだけ声のボリュームを絞って、聞く。
「失格じゃあ、ないよね?」
僅かな沈黙の後、彼女は寛容に頷いた。良し良し、これで私が会場に行って門前払い食らったらコトだからな。
「んじゃー、お三方。また後で会おうぜぃ」
今度は振り返らず、ひらひらと手を振り、のんびりと山に続く一本道を一人で進む。クラピカの「あいつ死んだな……」って面が目に浮かぶようだ。
「またね!!」
これだからクルタは、とクラピカクラスタの方々に猛バッシングを受けそうなことを考えながら歩む私の背中に、ゴン君の元気一杯な声援が届いた。
どうせ敵になるって知ってるのに仲良くなるの、気が引けるわ。もう遅いけど。
予想的中案の定、出現する魔獣は数を頼りにするだけの雑魚だった。しかし、人間の頭蓋骨を木の棒の先にくっ付けて攻撃してくるってのは、中々ホラー向きだ。第一印象でごり押しするタイプだろう。
生態系を崩すのは忍びないので適当に足やら手やらを折りつつ、無事に無傷で登頂し終えた。自分がどんどん人間離れしていくよダーリン。
「……ふーむ」
ゴン君達が凶狸狐に会うのは、日が沈んでからだ。その前にぱっと行ってぱっと嘘を見抜いて穏便に運んで貰うのもありかも知れない。
それが良いそうしよう。我ながらナイスアイデア。目標は決まったので、一本杉を目指すべく足を踏み出し──
左斜め後ろから飛んで来た細身のナイフ三本を、指で挟んで受け止める。投げナイフはフェイもクロロさんも得意だから散々やられてんだ、この程度に当たるとでも思ったか馬鹿め。
毒も仕込まれていない清廉なそれらを挟む力でへし折り、地面に投げ捨てる。
「誰? 言っとくけど私、多分あんたより強いよ」
そこそこの“絶”で木の陰に身を隠す男に向き直り、パクさんに鍛えられた良く通る声を披露。苦笑しながら出て来た男は、浮浪者って感じでは無かった。
「分かったよ、そんなに殺気を向けないでくれ。気分がおかしくなっちまう」
「ハンター協会の人間だろ、あんた。魔獣の群れを通り抜けた受験者に当てられるってことは、それなりに強い?」
「まあなあ。とは言え、君にゃ敵わん。その若さでそのオーラ、一体幾つ死線を潜って来たんだか」
それであんたはどんな試験を出すのかと尋ねると、男は軽薄な笑みを浮かべた。
「試験をどうしようか悩んだ末にこれだよ! 笑え! いっそ笑え! 露骨な時間稼ぎでした!」→←「誰が何と言おうとそういうあれだから! 自己満ではないから! ……希望的観測では」
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ロキ(プロフ) - エーミール少年が登場しとる笑 (2020年2月20日 21時) (レス) id: 2da3670e3a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» わーい閲覧ありがとうございますー! うーん…原作軸に沿って動くだけでかなり暇がないので、子育てさせるなら捨て子拾うとかそんな感じになりますね (2017年3月26日 15時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 更新されたの見ました!後、質問です。将来フェイと夢主の間に子供とかできたりするんですか。フェイと夢主の子育てシーンとか見たいです (2017年3月26日 9時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫月さん» この小説ももう49話埋まってしまったよ…。言うてやったのは膝カックンだけどね!(ショボい)元の世界についてはまだ言及しないかな〜…といった感じ。ただどっかのタイミングで一時帰界させないとなあ、とは考えてる所! (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» ああああありがとうございます……!!! (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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