【銀魂】不老不死の女は江戸に住んでいます《3》【真選組動乱篇】【吉原炎上篇】

141話・ ページ9

Noside〜


〈パイまみれだったという〉

新八「ただのパイ投げ祭りじゃねーかァァ！！なんでパイ投げ祭りで戦死してんの？一体どんな英雄だったのパパ！？」

〈パイまみれのパパの腕には大切そうにあるものが抱かれていた。そう、それは私へのプレゼント。約束した、ミートパイだった〉

新八「そこもォォォ！？どんだけパイまみれなんだよこの家族！ミートパイって言ってればアメリカンになると思ってたら大間違いだぞ！」

パイまみれのパパ大切そうに抱えていたミートパイと云う事だ。確かにパイまみれである

〈あれから五度目のクリスマスが来たけれど。私はまだあのミートパイをつまみ食いできずにいる〉

娘がつまみ食いできずにいたミートパイは、ナウ○カの腐海のようになっていた。正体のわからないものがミートパイ(と呼んで良いのかは不明だが)に繁殖していたのだ。此れは小さな腐海と呼んで良いだろう。体に入れると確実に腹を壊すだろう

〈パパを失った悲しみ、そしてパパを死なせてしまった自責の念。私がこれらを乗りこえられるまで………このパイをつまみ食いできるようになるまで、一体私はあと何度クリスマスを過ごせばいいのだろうか。私はホントは知っていた。たとえサンタなんかがきたところで、私のほしいものははもう………手に入らないことを…………〉

話が重い。一体サンタは何を少女にプレゼントすれば正解なのだろう。外にいた赤い衣装の男は考えた

〈翌朝、目を覚した彼女が目にしたものは、サンタのプレゼントでも、母や姉からのプレゼントでもなかった。無残に食い荒らされた父の形見であるミートパイ。そして泥棒の仕業だと騒ぎ立てる母親と姉の姿。最低の朝、最低のクリスマス。でも彼女は不思議と穏やかな気分に包まれていた。まるで長い間自分を縛り続けていた呪縛から解放されたように。父が許してくれたように感じた。父が前に進めよと背中を押してくれているように感じた。神様が私の代わりにミートパイをつまみ食いしてくれたのかな。彼女は神様がお腹を壊す絵を想像してクスリと笑った。でもそれは神様の仕業でも、まして泥棒の仕業でもなかった〉

彼女がトイレで見たのは、汚物で書かれた”メリークリスマス”と云う文字だった

〈サ……サン…タ…さ…〉

新八「ってなるかァァ！どこに夢があるんだ！ヒトんちでメシ食ってウ○コしただけじゃねーか！！」

142話・→←140話【サンタが届けるのはプレゼントではなく夢】

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