60話 ページ25
「結構甘やかされていると思うが…」
「甘えると甘やかされるは違うよ?松陽先生は!A先生から!甘えてきてほしいの!本当A先生って恋愛になるとポンコツなんだから」
「ホント甘え下手。ここまで来たら先生が可哀想になってくるね」
「散々な言われよう…しかし僕はどうすればいいんだ。大体できるから態々言うのも気が引けるぞ」
「気が引けるとか考えなくても、先生は待ってるから大丈夫。上目遣い、名前呼び、からのスキンシップとか小さなお願い、こういうのから初めてみたらいいと思うよ」
女の子は大人びていると感じたあの尋問会、役に立ちそうだ。
僕は引き止めた松陽の手をいわゆる恋人繋ぎにする。互いの手が重なって、それに体格差と言うか、手の大きさの差を感じられてなんだか変に意識してしまう。
そして上目遣い…要するに下から見上げればいいのだろう。寝ている僕は必然的に松陽を下から見上げる。驚いた松陽と目が合った。
「松陽…まだここにいて…?」
名前と小さなお願い、本当にこれで甘えたことになったのだろうか。何も言わず石のように固まっている松陽に僕は不安になる。
「松陽…?」
小さく名を呼べば、急に大きく空気を吸い込み始める。息を止めていたらしい。何故。
「ほ、本当に君は…何でそんなに急に爆弾を落としてくるんです…?」
「甘えてみた。嫌か?」
「大好きです!!」
声量を上げてそう言った松陽は握られた手に力を加える。それに応えるように僕も握り返した。触れ合っていることにいつもより安心感を覚えるのは、風邪を引いた時には人肌が恋しくなるからだろうか。
「私はAの恋人だから、Aに1番頼ってほしくて甘えてほしいんです。もっと甘えてほしいし甘やかしたい。何でもそつなく熟すAも好きですよ?でも男としては頼られたいというか、好いている人の役に立ちたいんです」
吐露された松陽の感情は尋問会での内容と8割方似ていて、あの子達は恋愛の匠だと思った。
「僕は甘えたり頼ることが下手、らしい。僕は頼っているつもりだったが松陽からしたらそんなにだったんだな。松陽は僕に頼られたら嬉しい?」
「勿論。嬉しくて天にも昇る気持ちですよ」
「はは、昇られたら困るな。でも喜んでくれるなら僕ももう少し甘えて頼ることにするな」
擦り寄るように繋がれた手を頬に当てる。暖かくて心地よい。
「手始めに、僕が寝るまでここにいて?」
そう強請れば松陽は嬉しそうに微笑った。
「えぇ喜んで。ずっと側にいますよ」
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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時