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拾伍 ページ15

唐瓜は、八大から二週間の夏休みを得た。
かなり仕事の虫な彼は、やることが見付からないらしく、家でぼーっとしている。

「唐瓜、あんた部屋の掃除は?」

「してあるよ。姉ちゃんじゃねーんだから」

「はぁ?!!」

「うわ、ごめんなさい!!」

襲ってくる姉から逃げながら家を走り回っていると、彼の目の前にひょっこり現れたのはA。

『お兄、お姉あそぼ……』

「ちょちょちょA危ない退け……!!!」

忠告はするものの、唐瓜はあまりに急なことに対応しきれなく、見事なほど豪快にAとぶつかる。
ついでに後ろを走っていた姉も、唐瓜の上に倒れ込んだ。

『……』

「いてぇ―……。おい姉ちゃん退けよ重い!!」

「重くて悪かったわね!!」

姉が退き、唐瓜が退き、倒れているのはAだけになった。
唐瓜は己の服に付いた汚れを払いながら彼女に手を差し出す。

「Aごめんな、大丈夫か?」

『……』

しかしAは下を向いたまま自分の力で立ち上がる。
唐瓜は、彼女の服の汚れも払ってやった。
と。

『うええぇえ――……』

Aが泣き出してしまった。

「あああ、ごめんな。……姉ちゃんも謝れよ」

「……A、大丈夫?ごめんね」

流石の元ヤンも謝るのが妥当だと悟ったらしく、Aの頭を撫でながら謝罪を述べる。

『うえぇぇ、いたいよぉ……』

「A、泣き止んで……。"いたい"?」

唐瓜がAの言葉に気づく。
彼女が気にしているのは膝のようだ。
見ると、擦りむいてしまったようで、赤い血が出ている。

「姉ちゃん、絆創膏」

「ん。あんたはAの膝洗っといて」

仲が良いのか悪いのか、こういうときは息がピッタリな姉弟。

「唐瓜、絆創膏きれてるっぽい」

「分かった。じゃあ俺が天国まで買いに行ってくる」

Aを姉に預け、唐瓜は天国へと向かった。

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隣のふー@くろまめ。(プロフ) - 神無月怜(元黒瀬優希)さん» 有難う御座います!!そう言って頂き嬉しい限りです…!! (2015年4月5日 21時) (レス) id: 712ba0ee00 (このIDを非表示/違反報告)
神無月怜(元黒瀬優希)(プロフ) - とても面白かったです……!更新、お疲れ様でした! (2015年4月5日 17時) (レス) id: 4cf6869eaa (このIDを非表示/違反報告)
隣のふー@くろまめ。(プロフ) - 神無月怜(元黒瀬優希)さん» とても嬉しいでふ←描いて貰えてよかったな、夢主wおおお、私なんかで良ければ是非!!後、こっから先の会話は多分チャットになっちゃうと思うんで、もし来て頂けるようであればボードの方に返信頂けると嬉しいです…!! (2015年1月4日 23時) (レス) id: 5663fbbcff (このIDを非表示/違反報告)
神無月怜(元黒瀬優希)(プロフ) - 隣のふー@くろまめ。さん» 喜んでいただけてよかったです!後、関係ないですがもしよろしければお友達になりませんか? (2015年1月4日 23時) (レス) id: 4cf6869eaa (このIDを非表示/違反報告)
隣のふー@くろまめ。(プロフ) - 神無月怜(元黒瀬優希)さん» うおああああ有難う御座います!!(落ち着け)早速使わせて頂きますね!! (2015年1月4日 23時) (レス) id: 5663fbbcff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:隣のふー@くろまめ。 | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年4月25日 14時

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