傘忘れたのか? ページ42
「は〜!久々にこんな遊んだで〜」
「そうですわね、楽しい時間を過ごしましたの」
「礼舞は先輩とパンケーキ食べれたから満足!」
気づけば20時を回り、夕ご飯も食べてそろそろ解散しようかという話になった
『みんな気をつけて帰りんさいね』
「はい!今日はありがとうございました!」
「念願のプリクラも取れたし、満足やわ」
『はは、そんなに?』
夕飯前に愛生が
「あの…私、プリクラというものを撮ってみたくて」
と言い出したのがきっかけで
案外ノリノリだったAに少し面食らった1年生だが楽しかったのは間違いない
『何この私の顔、全然反映されてないやん』
1枚だけAの顔が加工されていない画像を見つけ不満そうに口を尖らせた
「反映されてなくても違和感ないのがすごいんですよ〜先輩」
『えーそう?』
「奏ちゃん何してるのー?」
「みんなにカラコンつけてんの。ほら!A先輩とか赤目めっちゃ映える!」
--赤目……--
「ほんとだー!ね、A先輩めっちゃかっこいい!」
--もともと赤目だよ--
『なんて言えるわけないか…』
「ん?先輩なんか言った?」
『ん?ああ、なんでもないよ』
--きっとみんな私が赤い目をいているって知ったらどうするんやろうか--
〜そして現在〜
「ほな!帰ろか!」
「あ、奏ちゃんあと2分でバス行っちゃう!」
「え、ほんとですの!皆さん早く!」
なんと慌ただしい別れと思ったのはその場にいた全員が思った
『私寄りたいところあるからここで』
「え、あ、はい!お気をつけて先輩」
『ばいばい、また明日』
ポツポツと鼻に当たる感触
--雨…--
とりあえず近場の書店に入ることにし、そこまで走る
『……はぁっ…はぁっ……』
書店に着くとより一層雨がひどくなり帰れる状況ではなかった
今日の天気予報に雨なんて予報は言われておらず折り畳み傘すらも持って来ていない
『…どうしよ』
書店まで走った時に多少慣れてしまって濡れた服が肌に張り付いて寒い
とりあえず書店の中をうろうろして
このまま走って帰るか、それとももう少し待つか悩んでいた
--寒い…っ--
風邪引くことを覚悟で走って帰ることにしたA
「A……?」
後ろを向くとそこには赤司がいた
1週間前のあの日から用がない限り言葉も交えず、帰ることもしなくなっていた
お互い気まずい雰囲気を醸し出していて実渕たちもあまり触れてこない
「傘忘れたのか?」
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作者名:蛍 | 作成日時:2019年10月18日 20時