頭を撫でられるのなんて、初めてだ ページ22
握られた手に伝わってくるのは熱や男性ならではの少し骨張った感触
それがAにとっては不思議と落ち着く感覚があった
『赤司ってヒョロそうに見えて意外としっかりしてるんだね』
繋がれている赤司の手をマジマジと見る
「褒め言葉として受け取っておくよ。…それにヒョロかったら生徒会長や強豪のバスケ部キャプテンなんか務まらないだろう」
--まぁ、たしかに--
「Aは小太郎達とは最初からあんな感じかい？」
『いや？最初は猛獣だったよ。問題児すぎて』
「へぇ？」
『私あいつらが入部して早々に教育係を任されてさ、そしたらこんな懐かれた』
「Aの教育の仕方が良かったんだろう」
『まさか。あいつらが素直なだけだよ』
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『ごめんね、今日も送ってもらっちゃって。おやすみ』
「いや、いいさ。久しぶりにこんなに楽しめた。おやすみなさい」
--あ、今なんか…--
Aは少し違和感を感じて踵を返す赤司を静止する
『ちょ、赤司』
「？」
Aは少し背伸びをし赤司の頭を撫でていた
「…ふふ…どうかしたかい？」
大人しく撫でられている赤司の口から自然と笑みが溢れAは少しホッとした
『いや、なんか思い詰めたような顔してたから』
「…」
『なんか赤司って育ち良さそうだし、なんでも1番じゃなきゃいけないっぽいから。少しは肩の力抜いた方がいいと思うけど』
「…」
『あ、もしかしてよしよしされるの気持ちよかったり？』
「そんなわけないだろう」
『だって全然嫌がらんやん』
「それはAが精一杯背伸びして頭撫でるから、断っちゃ悪いと思って」
『このやろ。………少し表情逸れたみたいやね。おやすみ』
「あぁ、おやすみ」
Aは見えなくなるまで赤司の背中を見つめていた
「頭撫でられるのなんて、初めてだ」
赤司は撫でられた頭を押さえてそう呟いた
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作者名：蛍 | 作成日時：2019年10月18日 20時
