検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:5,194 hit

星降る夜に2 ページ2

「君は如何して此所にいるんだい?」


「…星を見にきたの。」


「星が好きなの?」


「…うん」


「如何して?」


目線は星空。

望遠鏡に手を伸ばした。冷たい。





「星はね、あたたかいから」



「よく、星は冷たいって云うでしょう?
太陽みたいに自ら輝けないし、目で
見えないくらい暗い星もあるから。
でも、私にとっての星は違うの。星は、
とっても綺麗で、あたたかいんだ。」


「星を見ると、私の心も清らかになる
気がする。とってもあたたかくて、
大切で、大好きな誰かと会っている
気がする。…だから、星が好き」




云い終わって、ゆっくり彼を見る。
彼もまた、私を見ていた。


「それで、貴方はどうしてここに?」



目線が合ったまま、私は問うた。
聞いた瞬間に、彼の回りの闇が強くなった
気がした。



「私は、何をしに来たのだろう」




その言葉には、深い悲しみが含まれていた。
気のせいではないと思う。
彼は、目線を外したから。



しばらく星を見ていた。二人とも。


口火を切ったのは彼だった。




「どうしてここに来たのか、私には本当に
分からないんだ。もしかしたら君と同じ
で、この星空を見に来たのかもしれない
し、もしかしたら誰か…否、"彼"を
待っていたのかもしれない」



「彼が、向かえに来てくれるのを(・・・・・・・・・・・)




そう云った彼の瞳には全く光が宿って
いなくて、きっとその人はもういないの
だろうと思った。



重苦しい雰囲気を変えようと口を開く。



「そしたら私は、いない方が良いよね」



「もしかしたら、君に出会いに来たのかも
しれない。」



彼を見ると、笑っていた。
先程の、真ッ黒な瞳はもうどこにもない。


「何それ」



私も笑った。笑うのは久しぶりだった。
こんなに心が弾んだのはいつぶりだろう。
最後に笑ったのはいつだったか、
もう思い出せない。

星降る夜に3→←星降る夜に1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

暁月 - すごく心があたたかくなりました!面白いです。ドラえもんの方もお待ちしております! (2020年11月25日 22時) (レス) id: e687c517ef (このIDを非表示/違反報告)
明月(プロフ) - くれーぷさん» ありがとうございます!この作品で少しでも誰かが明るい気持ちになってくれたら嬉しいです。更新頑張ります! (2017年8月9日 17時) (レス) id: 0166858713 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ(プロフ) - なんだか読んでから心が軽くなったような気がします。ほっこりする素敵な作品をありがとうございます!私もこんな作品書けるように頑張ろ。更新楽しみにしてますね♪よし、星見に行こう← (2017年8月9日 12時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
明月(プロフ) - RAIさん» ありがとうございます!柔らかい文章かは分かりませんが、できるだけ感情?とか心の声みたいなものを書くように心がけています。あとは五感をいれるとか…。分かりにくくてすみません。すごく嬉しいです。更新頑張ります! (2017年8月5日 22時) (レス) id: 0166858713 (このIDを非表示/違反報告)
RAI(プロフ) - 柔らかい文章の書き方がとても好みです……!私もそんな風に掛けるようになりたい(切実)。次の更新も、楽しみにしています。 (2017年8月5日 20時) (レス) id: d6a1ef8da1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:明月 | 作成日時:2017年8月5日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。