今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:4,317 hit
小|中|大
好きになっちゃった。
俺の足はベランダへと駆けていた。
ドタドタと大きな足音が鳴るのも気にせずに、そんなに距離の無いはずのベランダへ。
「さようなら」
そう聞こえたのは俺の気のせいか。
気の所為であってくれと願う。
この腕に掻き抱こうとして伸ばした手は空をきり、ベランダの柵の向こうに飛び立った腕をギリギリで掴んだ。
彼女の身体は柵の外でゆらゆら揺れる。
「………ッ!!」
「っ……わた、し……」
大好きなネスさんと一緒に過ごすことが、怖くなったの。
そんな自分が嫌で、過去を恨んでしまう自分が嫌いで。
「…ネス、さん。
………だいすき」
ニッコリと笑った、彼女の笑顔を見たのと同時に掴んでいた腕がするりと抜けた。
そこからの絶望や情景は、今でも言葉にしたくない。
・ ページ14
ひゅ〜、と風を感じて振り返る。
ベランダの扉が開いていて、彼女がぼんやりと立っていたからだ。
「………A?」
呟くように呼んだ声に、彼女はゆっくりと振り返る。
初めて彼女に出会った時とは違う、少し元気の無い姿。
「………ネスさん」
彼女は柔らかく微笑んだ。
その表情は、儚くて、美しくて、俺は目を逸らせなかった。
「……楽しかった、私…」
「…………」
1歩、俺の足が出た。
このまま彼女が居なくなりそうだったから。
「………私、ネスさんの事……」
俺の足はベランダへと駆けていた。
ドタドタと大きな足音が鳴るのも気にせずに、そんなに距離の無いはずのベランダへ。
「さようなら」
そう聞こえたのは俺の気のせいか。
気の所為であってくれと願う。
この腕に掻き抱こうとして伸ばした手は空をきり、ベランダの柵の向こうに飛び立った腕をギリギリで掴んだ。
彼女の身体は柵の外でゆらゆら揺れる。
「………ッ!!」
「っ……わた、し……」
大好きなネスさんと一緒に過ごすことが、怖くなったの。
そんな自分が嫌で、過去を恨んでしまう自分が嫌いで。
「…ネス、さん。
………だいすき」
ニッコリと笑った、彼女の笑顔を見たのと同時に掴んでいた腕がするりと抜けた。
そこからの絶望や情景は、今でも言葉にしたくない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:hoshina
作成日時:2023年5月6日 23時