ポ ー カ ー フ ェ イ ス 4 【あんスタ】

真実7 ページ8

楽しくなる、はずだった。

『…なぜあなたが？』

机を挟んで目の前にいる青い瞳がいじわるそうに光った。

「妹の文化祭、及び母校の文化祭に行くのは当然だろ？」

今日は一般公開の日。一般客が性別問わず彼＿有川琉陽を噂する。
今波に乗っているアイドルは一味違う。ざわつきようが異常である。
チラリと視線を逸らせばクラスメイトたちと目が合う。"大先輩"がいるという緊張からかぎこちない笑顔を返されるのみである。

「なぁ、賭けに勝ったら何でもしてくれるんだって？」

『……できる範囲内で、ですが。』

「ふーん、じゃあやろうぜ。俺が勝ったら、言うこと聞けよ？」

挑発的な笑みを向ける彼。

『えぇ、望むところです。』

トランプを束を差し出し、笑顔を返す。

彼が手札を切り、手元に5枚配られる。

スペードの1、2、3、ダイヤの10、ハートの9……あとスペードの4、5が来ればストレートフラッシュが作れる。だが、その確率は極めて低い……他のカードが来れば役を作れず惨敗する可能性も高い。

「どうする？」

兄さんが頬杖をつきながら聞いてくる。……やり直しもできる。そちらの方が安全ではある、が。昨日から運は上々。勝率はほぼ100％に近い。

『……2枚、交換で。』

スペードの3枚を伏せ、その他のカードを捨て、山から2枚引く。

「俺も3枚交換かな。」

同じようにカードを捨て、山から3枚抜く彼。その間も表情を注視する。
先程、カードを見た時、右眉が上がっていた。3枚変えた感じからも引き運はあまり良くなかったのだろう。

しかし、2枚を伏せたカードがワンペアで、私の引き運が悪かった場合、負ける。つまり、スペードの4、5が来なければ負ける。

(頼む……！)

2つのカードに書かれたスートはスペード、それも4と5！
我ながら豪運。
これでやっと、兄さんに勝てることが出来る……！

5枚のカードを並べ終える。
相手も5枚のカードを並べた。

「どうぞ？」

その余裕ぶった顔も今のうちだ

『ストレートフラッシュです。』

カードをオープンすれば辺りはザワつく。
クラスメイトだけが、「またか……」と呆れたように笑っている。

『……どうぞ。』

彼はそれでも笑みを崩さない。

5枚のカードがゆっくりオープンされる。


『なっ…………！？』

ダイヤの、10、J、Q、K、A……！？

「ロイヤルストレートフラッシュ。俺の勝ちだな」

……やはり今回も、白旗をあげる羽目になったのだ。

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