検索窓
今日:11 hit、昨日:15 hit、合計:37,546 hit

真実12 ページ13

〜Side You〜

音響よし、照明よし、舞台よし……。

何回目の点検だろう。どこも異常はなさそうなのに嫌な予感がする。

手先が冷たい。心臓がバクバクとうるさい。先程の歌自慢のときよりも緊張しているのがわかる。ふぅ、と大きく息を吐く。落ち着け、こういうときこそ笑え。

「……珍しいね、Aが緊張してるの。」

後ろからかけられた声に振り向く。衣装を纏った翠くんが肩をすくめて立っていた。

『…………うん、緊張してる。』

「素直なのも珍しい。」

彼は少し驚いたようだったが、すぐに優しく微笑む。

「Aが緊張することはないよ。大丈夫、このライブは絶対成功させる。」

任せてよ、と胸を張る翠くんはいつもと全く雰囲気が違って、

まさにヒーローみたいだった


『………ねぇ、翠くん。約束して。___……。』

「それって…。いや、分かった。」

翠くんはこくんと頷く。

『ありがとう。翠くんがそばに居てくれてよかった。』

「なんだよ、明日死ぬみたいな言い方……」

翠くんは笑みを含ませて言ったが、目を丸くさせた後、また柔らかい笑みを見せた。

「俺も、Aが居てくれてよかった。Aが、まだ俺を頼ってくれてよかった。」

まるでこれから戦地に行くかのような会話だった。
クスクス笑いながら交える会話とは思えないような不穏さがあった。

床に置いていた仮面を拾い上げる。
これで最後にしよう。

___まもなく開演だ

真実13→←真実11



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.2/10 (400 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1374人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

星宮 その(プロフ) - ゆのんさん» 温かいコメントありがとうございます。私自身、話の流れやオチに様々な葛藤があり、流されることもありましたがそう言ってくださりとても嬉しいです。最後までお読みくださりありがとうございました。またお立ち寄りくださると幸いです🍀 (3月31日 21時) (レス) id: 240e030cee (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん(プロフ) - 二回目のコメント失礼します。ここまで面白い作品の評価が殿堂入りじゃないのかが不思議でなりません!とても心地よく読ませていただきました。この作品を書いて下さりありがとうございました。 (3月30日 2時) (レス) @page28 id: 69c19f3dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん(プロフ) - は〜…………一気に読んでしまいました。私は時々嫌われ系の夢小説を無性に読みたくなり、読みに来るのですが、ここまでオチに納得したのは初めてです。伏線の回収や、キャラの設定、どれもとても良かったです!面白すぎて、いつの間にか作品を一気に読んでいました! (3月30日 2時) (レス) @page28 id: 69c19f3dfe (このIDを非表示/違反報告)
星宮 その(プロフ) - Not useさん» コメントありがとうございます🤍そう言っていただけて本当に嬉しいです。また気が向いたときに立ち寄ってくださると幸いです🍀改めて、最後までお付き合いくださりありがとうございました。 (2022年12月24日 12時) (レス) id: 240e030cee (このIDを非表示/違反報告)
Not use(プロフ) - 完結お疲れ様でした。とても好きな作品の1つです。 (2022年12月23日 13時) (レス) @page27 id: e53561566d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:星宮 その | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年7月12日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。