第十七話 ページ19
とあるバーにて。
「おい太宰、一寸聞けよ」
中原は持参した葡萄酒←善いのか
「何だい」
太宰は頼むは頼むが氷を眺めるだけ。
グラスの側には蟹缶。
其れを割り箸でつついている。
「此の間な、成り行きで瑠璃に『水を作る』と云う課題を課されてよ」
「ぶっ」
蟹を吹き出しかける太宰。
慌てて口許を覆う。
「きったねェ」
中原が露骨に眉をひそめた。
「中也のせいでしょ」
かろうじて口の中に留まった蟹を咀嚼し、呑み込む。
こくん、と太宰の喉が鳴った。
「O2」
新しく蟹の身を解し乍ら太宰が呟いた。
空気中を舞う埃が如く、すとんと地面に着地するような、そんな声。
「…は?」
中原が不機嫌そうに葡萄酒を煽る。
ガァン、とグラスを机に叩き付けた。
衝撃で蟹缶が宙を舞う。
「酸素の元素記号だよ。知らないのかい?」
にやにやと厭な笑みを浮かべ乍ら、太宰が中原を見遣る。
「其処は如何でも善い。問題は作り方だ」
「あー…何か居なかった?檸檬馬鹿とか」
「居たな」
「其奴に訊けば?」
「遣ってみるぜ」
――――――――――――――――――――――――――――――――
「おい梶井」
「何です中也さん」
「さぁ此処は研究室だっ!」
「宇宙大元帥に捧ぐ祝詞を叫べ!」
「「スイヘーリーベーボクノフネーッ!!」」
そして流れる重苦しい沈黙。
中原が恥ずかしそうに呟いた。
「何で研究室入るのにンな糞恥ずかしい事をしなきゃなんねェんだよ」
「云うな。僕も恥ずかしいんです」
「なら止めろ。上司に命令口調で喋るのと並列して止めろ」
「厭です」
「何でだよ」
梶井が襤褸の白衣をはためかせ、振り返った。
「所で何の様です?中也さんも檸檬爆弾を浴びたくなりました?」
「ならねェよ死ぬわ。厭、科学的に水を作るには如何すれば良いのか訊きに来た」
「しょーもね」
「ブチコロスキサマ」
「死と云う事象以外凡てしょーもないでしょ。厭ね、水素を燃やせば善いんですよ」
中原の目の前にドンッとでかい瓶が置かれる。
梶井が得意気に水素です、と云った。
「作れ」
「梶井、そろそろ消すぞ」
「御免なさい」
――――――――――――
「瑠璃!」
『何です?』
「水作って来たぜ」
『あっ其の設定未だ生きてたんですね。頂きます』
ごくん、と。
瓶の底に溜まった怪しさMAXの水を飲み干す瑠璃。
『何か不味い』
「だろうな」
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ほっすぃー(プロフ) - 真紅さん» 合ってますww有り難う御座いました!m(__)m (2018年6月30日 21時) (レス) id: c50e6a0d75 (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - たまになんかクプラっぽいのがあるなぁーっておもったんですけど合っててよかったです笑 (2018年6月29日 7時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
ほっすぃー(プロフ) - 真紅さん» 返信遅れて御免なさい!コメント有り難う御座います!そうですね、クプラさん好きですw (2018年6月29日 7時) (レス) id: c50e6a0d75 (このIDを非表示/違反報告)
真紅(プロフ) - あの、もしかしてなんですけどクプラすきなんですか?小説と関係なくてごめんなさい (2018年6月27日 18時) (レス) id: f5ab8da157 (このIDを非表示/違反報告)
ほっすぃー(プロフ) - アリスさん» 分かります…蟹缶美味です…コメント有り難う御座います! (2018年1月29日 7時) (レス) id: c50e6a0d75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほっすぃー | 作者ホームページ:
作成日時:2017年6月9日 7時