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case2 ページ2

驚いた。

それはそれはもう隕石が落ちてきたんじゃないかというくらい驚いた。

かつての同僚がこんな目立たない、加えて彼の家からは遠いであろうこのクリーニング屋に来たからだ。

私は死んだことになっている。


だが、それは組織を欺く為のものであって、現実ではない。

まぁでもこの事を知っている人と言えば、同じくかつては死んだ設定だった赤井秀一と上部の人間だけ。

流石に変装もしているしバレないであろう。

…そんな建前も虚しく、降谷は気付いたようだ。

ポーカーフェイス最初崩れてたし。

それでよく公安が務まるな。

「…はぁ」

「紗枝ちゃんどうしたの」

「大丈夫です、少し寝不足なだけで…」

「そう?ちゃんと寝なきゃダメよ」

優しいクリーニング屋の奥さんの櫻庭多恵さん。

「もうこんなに遅い時間だし、帰ったら?」

「でもまだ時間が」

「大丈夫大丈夫!あのお客さんで貴女の仕事は終わり。ね?」

「…ありがとうございます」

少し笑ってお礼を言う。

エプロンを脱いで、コートを着る。

マフラーを付け、髪の毛をほどいて鞄を持つとお疲れ様でしたー、と言って店から出た。

暫く歩いていると急に腕を捕まれ、路地へ引き摺り込まれた。

痴漢か不審者かと思い、咄嗟に相手の腕を押さえ込もうとするが相手も強い。

暗くて顔は分からない。が、蹴りを出して少し怯んだ。

腕を振りほどこうともがいているうちに壁際に追い込まれた。

両手を掴まれ、壁に背中を押し付けられる。
冬の冷えたコンクリートの壁が余計に自分の体を震え上がらせた。

「…やっぱりお前か」

「え」

その声に思わず目を見開く。

そこに居たのは降谷だった。

誤魔化そうと口を開く。

「なんのことです、私はしがないクリーニング屋の店員ですが」

「本当か?」

と、私の顎に手をかけ、それを剥がしていく。
そう、化けの皮を。

「…チッ」

「久しぶりだな、A」

「…いつから気づいてたのよ、公安のお姫様」

「…その名で呼ぶな……初めだ」

「そうだと思った…」

降谷はなんとも言えないムカつく表情を向ける。

「お前こそなんでこんな所にいる」

「秘密」

「即答かよ」

と眉間に皺を寄せる。

「髪伸びたな」

「まぁそりゃあれから結構経ってるからね」

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2019年2月17日 18時

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