【声優】私が恋した文系声優【堀江瞬】

ごぺーじ ページ6

「も、もう泣くなって…！」


私が泣き出してから約1時間。


『だって…ｸﾞｽｯ……自分の力で会うって決めたのに…ﾋｯｸﾞ…』


そう。


誰にも言ってないけど、お兄ちゃんを頼りにすれば、誰にだって会える。


でも、自分の力で会いたい。


そう思ったから、ここまで頑張ってきたのに…


「なんか、ごめんね…？Aちゃん。」


Aちゃん？！


名前を呼ばれた…


『ホリエル…あ、堀江さんはなんも悪くないです！お兄ちゃんが全部悪いんです！！』


「はぁ？！何でも俺のせいにするなよ！
もういい！お前なんか知らねぇからな！？
手助けしてやんねぇ。」


兄のガチギレ。


なんなんだ。私は言ったはず。


自分の力で会うから邪魔しないでって。


『お兄ちゃんが悪いくせになんだし！
もう帰ってよ！トマト界人！！』


「あぁ、帰ってやるよ。くたばれピーマン界人。」


――――――――――


兄が帰ってから数十分。


泣きべそかいてる私の背中を、堀江さんがさすってくれている。


『トマト界人と帰らなかったんですか…』


「数少ない友人の妹だしね…
それに、泣いてる女の子を置いていけるわけないでしょ。」


不機嫌気味に問うと、紳士的な答えが返ってくる。


『やっぱり、優しい…ですね…』


想像していた通り、優しくて静かで冷静。


「優しくなんてないよ。当然のことをしてるだけ。……さ！荷物整理しよう？このままだと明日大変だよ。」


ニッコリと笑うその表情は天使そのものである、


『はい！』


その笑顔に勇気づけられ、荷物整理を始める。


兄と喧嘩したのは、これで五度目。


全部、私の頑固さゆえの喧嘩。


兄は何も悪くないのだ…


ごめんね、お兄ちゃん…

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