紅茶とミルクをかき混ぜて。

ポスター ページ20

「うん。
どちらかと言うと、静かに怒るイメージだったな。」



翼はそう言って少し笑う。



「私、そんなイメージだったんだ…。」


小さい時からよく、お兄ちゃんに『顔に出てる』って言われるし、全然静かに怒らないんだけどな。





「4名様入りまーす。」


その時、同い年くらいの男の子達が入店して来た。

少し空いていた店内は、あっと言う間に忙しくなる。




「ごめん、美門君。

まだ時間じゃないけどちょっと入ってくれない？」


忙しなく働く店員さんの一人が、翼にそう言った。


翼は立ち上がり、私に申し訳なさそうに手を合わせる。




「ごめん。ちょっと混んできたみたい。」

「あ、ううん。
バイト優先だよ！」


本当はもっとお話したいけど、我儘言っちゃ駄目だよね。

元々翼はバイトで来てるんだから。






「あ、そうだ。
俺もまだ話し足りないしさ、」




翼は会計の側にあるポスターを親指で指す。

そのポスターに目を向けると、クリーム色の台紙に緑色の文字でこう書かれていた。




『staff募集！

時給1100円
勤務時間＿』




スタッフ募集？

アルバイトって事？



翼は頷いて、言葉を続ける。



「うん。今日みたいに話したくてもずっと話せない事があるかもでしょ。

だからここでバイトしない？」




アルバイト、か

ちょっとやってみたい。

あ、でも私やった事ないし まずママが許してくれるかな…。



「あ、無理矢理じゃないよ。

でも入ってくれたら休憩時間とかにも喋れるし。」




確かに！

入ったら時間を気にせずに過ごせるよね。



「やりたい！

お母さんに訊いて来るね！」



ママには説得しよう。

それに今日はパパが出張から帰って来る日。

もしママが駄目って言っても、パパならきっと大丈夫！



「やった！

じゃあ出来たら明後日来てくれない？
俺月曜と火曜、あと土曜が休みだから。」



うん！

絶対行くね！

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