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彼が僅かにふらついた ページ6

3回目の号令。
「だーるまさんがっ」

少女の声がそこで途切れた。
少女はさっきの一松さながら、派手に転んでいた。

「きゃっ」

少女は何の抑揚も無く悲鳴を漏らした。
まるで、転んだら、そういうように教えられているように。
とにかく、少女の声には抑揚が無かった。
抑揚、というか、感情がある声を出すのは、
「遊ぶ」時だけ。

その隙に、一松達は駆け出した。
必死に、走った。
だが。

「いったぁーい」

少女の、恐ろしく抑揚の無い声が響き渡った。
少女が振り返った。
反射的に一松達はぴたりと止まる。
が。

十四松は。
十四松だけは。
止まらなかった。

否。

止まれなかった。

十四松のいるところに、運悪く、石があり、
十四松は、それに躓いた。
たった、それだけ。
だからか、動きは最小限で済んだ。
でも、少女の動きは、それだけでも。
それさえも許してくれなかった。

その瞳には、遊びの一文字も刻まれていなかった。
少しなら、動いても許される、遊びのだるまさんがころんだ、ではなかった。


食うか食われるかの真剣勝負。

故に、彼女は許さなかったのだろう。
十四松が、途中で動いたのが。

少女は、ゆらりとこちらを見やった。

「十四松くん、つーかまーえたっ♪」

少女の楽しそうな声を聞いたのは、
2回目の号令が鳴り響いてから、僅か5分後のことだった。

名前呼ばれて彼は捕まった→←だるまさんがころんだ



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- だるまさんが転んだの歌好きです!面白かった! (2017年6月11日 22時) (レス) id: e24fab203a (このIDを非表示/違反報告)
Cz松 - この作品は、おもしろかったです!!私は、弟松好きです。あと「だるまさんがころんだ」の曲も好きです!!!これからもいい作品を書いて頑張ってください! (2016年10月27日 23時) (レス) id: edc0f184c1 (このIDを非表示/違反報告)
鬼子(プロフ) - せみなりさん、ね?作品見るよ〜♪ (2015年6月10日 20時) (レス) id: c3eab9c895 (このIDを非表示/違反報告)
蝉鳴(プロフ) - せみなり  だよ〜 (2015年6月10日 19時) (レス) id: 8903d744a4 (このIDを非表示/違反報告)
鬼子(プロフ) - ありがとうございます!あと、名前なんて読みますか? (2015年6月9日 21時) (レス) id: c3eab9c895 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅月帝斗 | 作成日時:2016年5月16日 21時

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