一話 久しぶりの再会 ページ1
太宰視点
夜の横浜は、昼間とは姿を変え、月明かりが私達を照らしている。
探偵社で国木田君に何時も通り悪戯をし、様々な自
殺方法を試して全て失敗しながら終わった今日。
すっかり暗くなった道を辿って、私は家へと向かっていた。
もう見慣れた変わり映えしない風景を見つめて、
溜息を着いた。
横浜の港湾は、彼と同じ蒼い色をしている。
ポートマフィアに在籍するも、穢れを知らないあの蒼い瞳が、最初は嫌いだった。
しかし、嫌悪だった感情は何時の間にか色を変え
恋へと移っていたと自覚した時は頭を抱えた。
それでも、何処か納得している自分がいたのだ。
そこまで言って、気がついた。
太宰「......やめよう。」
また、彼の事を考えているではないか。
離れてから随分と経った筈の年月は、此の想いを薄く所か色濃くしている。
そろそろ、忘れなくてはならないのだ。
敵対組織の、ましてや幹部だ。
何時か、命を狙われ、狙う時が来る。
その時、この想いは障害物にしかならないのだから。
その時、ふと、前から近づいている足音に気がついた。
太宰(?.......こんな時間に夜道を出歩くなんて.......)
不思議に思って顔を上げたその時。
「「......あ。」」
橙色の髪に、先程思い出した蒼色の瞳。
何時の日か彼に渡されていた悪趣味な帽子。
中也「......手前ェ、太宰......なんで、ここに.......」
紛れも無い、中原中也だった。
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