虚無感＿sora ページ30
年が明けたからって、なにか特別な事があった訳でもないのに、最近ふとした瞬間に寂しくなるのは何でだろう。
息を吐く度に白くなる空気とか、悴んだ指先とか、マフラーの匂いとか、そんなもので、無性に寂しくなるのは、一体何でだろう。
「寂しいって?」
「うん」
君にそのことを話したら、軽く笑われた。
クスクスと笑う度に伸びる目尻が、何だか懐かしくて、ああ、この人と出会ってもう三年経つのか、なんて柄にもなく黄昏てみたりして。
「…卒業だもんね〜」
そういえば最近、よく先生達の口から「卒業」という二文字が出るようになった気がする。
それは三年に入ってからのことではあったけれど、最近は特にだ。
"そっか、ついに卒業か"
そうは思っても、何だか腑に落ちない。
たった三年、短いような、長いような三年。
なんだろう、宇宙人が目の前に現れた時と同じくらいに現実味がない。
「卒業」という言葉が、上手く自分の中で飲み込めない。
「俺さ、寂しいけど、楽しみなんだ」
「え〜?」
「だってやっと、東京行けんだ〜」
「…うん」
「なに、その反応〜。もっと喜んでくれてもいいんだぜ?」
調子乗るな、そらのくせに。
「…バカ」
「なになに、俺に会えなくなっちゃうのが寂しかったりして〜?」
「うっさい」
「サーセン…」
「…そら」
「ん?」
「たまには会いに来てね。」
「おう」
「東京の話いっぱい聞かせてね」
「おう」
「大学、頑張ってね」
「おう」
鼻の奥がツンとして、目がムズムズする。
あれ、おかしいな、花粉は今の時期じゃないはず。
「やっぱり、寂しいなぁ…」
手の甲にポタポタと水滴が落ちた。
それから、耳元でそらの慌てた声がする。
「気がはぇーよ」
ケラケラと笑いながら、君の手が私の頭を撫でる。
この時が永遠に続けばいいのに。
ずっと、君の隣にいたかったよ。
「私のこと、忘れないでね」
P.S.
一足早い、卒業のお話です。
上京する君と、素直じゃない私。
続く
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榮愛 - リクエストいいですか？水溜りボンドの二人書いてもらえますか？ (2018年3月28日 8時) (
レス) id: eebcc8fec2 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - すみれさん» 了解です！お好みのシュチュエーションなどはございますか？ (2018年1月28日 17時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - おるたなの渋ジャパ下さいぃぃぃぃい(土下座) (2018年1月28日 17時) (レス) id: b2ee1e5041 (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - リクエストを書いてくださりありがとうございます！大丈夫です、バッチリキュン死しましたから(￣▽￣)またリクさせてくださいm(_ _)m (2017年12月19日 15時) (レス) id: eb6c37d723 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - ぴちこさん» リクエストありがとうございます！大変申し訳ないのですが、説明欄に書いてある方のみのリクエストをお受けしております。せっかくリクエスト頂いたのに、お答え出来ず大変申し訳ないです… (2017年12月17日 23時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀬名 郁 | 作成日時：2017年8月10日 5時
