本、返してください。【名前変換オリジナル】

第３節 ページ24

今日は11月29日。もうじき文化祭かぁ。

　「明日のHRで、文化祭の実行委員を決めます」

帰り際、先生が言った。

「学級委員ではない人の中から、男女二人ずつで決めます。やりたい人は、明日のHRまでに先生に言いに来てください」

　「志穂っー！」

先生が去ると、いの一番に志穂の所へ走った。

「一緒に実行委員やらない？」

　きっと、志穂を誘えば、浩介も来るだろう。三人一緒なら、きっと楽しいはずだ。

　「あー、うん……。そうだね！」

ちょっと迷ってから、志穂は言う。何かあるのかな？

「でも、ちょっと考えとく」

そう言って、志穂は気まずそうに行ってしまった。

　あー、これは、ダメなパターンだな……。


　「藤野、お前、実行委員やるのか？」

　部活帰り、浩介が言った。

　「うん。やろうとは思ってるけど。なんで？」

「いや、お前が話してるの、偶然見かけたから……」

一瞬、期待してしまうけれど、すぐに思い直す。

「なるほど、志穂目当てって訳ね」

「なっ」

顔を真っ赤にする浩介。あーあ、こりゃ図星だよね。

「うん、やるんじゃないかな。明日、二人で立候補しようと思って」

少しだけ、嘘を吐く。

「俺もやろっかな……」

「いいんじゃない？」

　ごめん、浩介。志穂も、利用しちゃってごめん。

　でもさ、勝ち目がなくなったら、大人しく身を引くから……。

　それまでは、横にいさせてよ。

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