本、返してください。【名前変換オリジナル】

第４節 ページ25

翌日、私は志穂よりも確実に早く到着する時間に家を出た。

　職員室に入り、先生に文化祭実行委員立候補の旨を伝え、鍵を借りて教室へ行く。

　今日は原稿用紙は志穂が持ってるし、暇だな……。


　「ごめん！」

　いきなり扉が開き、志穂が入ってきた。

　「部活の方も文化祭で色々あって、実行委員は無理だって部長に言われちゃって……ごめん！」

そう言って、志穂は両手を顔の前で合わせた。

「あ、いーよいーよ、大丈夫」

「でも、遥香は立候補したんでしょ？」

「いや、こういうのやってみたかったしさ。丁度いいよ」

嘘の愛想笑いを張りつけながら、そう言った。

　〔あーあ。思惑通りになっちゃったねぇ。これで、邪魔なライバルはいなくなって、浩介と実行委員ができる〕

どこからか、そんな声がしたような、気がした。


　「おはよーっす」

しばらくして、浩介が来た。

　小説作りを即座に中断して、浩介と三人で喋る。

　「浩介、本は？」

「すまん……」

「まあ、分かってたけど」

「酷っ！」

仲良さげに、志穂と浩介が喋る。

　あれ、この二人、気づいたら、こんなに仲良くなってる……。

　僅かに、嫉妬心が芽生えた。

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