23 相談 ページ23
「あゆな！久しぶり！」
『
「それだけが取り柄だからね！さ、とっとと食べて、話を聞くよ！」
『うん、よろしく』
目の前に広がる夜景を眺めながら、二人がけのソファー席に隣通しで座り、私に抱きついてくる麗美は、いつも明るくて元気だ。
ここは仕事帰りに麗美とよく寄るお店で、街の夜景が見渡せる窓に向かって座るソファーのカウンター席がお気に入り。
麗美は、小さい頃からとても頭が良くて、今は有名大学の大学院で、私にはよく分からない謎の研究を続けている。
おいしいご飯を食べ終わり、理人さんに出逢った海での出来事を、麗美に包み隠さず話した。
話し始めた途端、麗美の表情が驚きと期待に満ちて、嬉々とした瞳に変わった。
それが何を意味するのかは、この時の私には全く分からなかったけれど…。
ただ…。
理人さんと出逢ったことを、麗美は何故かとても喜んでいた。
「で！で！？次はいつ会うの！？斗真とは別れるんだよね！？」
『理人さんと会う約束なんて無いよ。それに斗真と別れるなんて…』
「いやいやいやいや！そんな訳にいかないよ！」
『…？…どうして？』
「えー…と、それは……そう！運命だから！！…偶然は必然で、それはもう運命なんだ！！」
『運命？…ふふ…』
「あゆな…笑い事じゃないんだ！」
麗美が珍しく焦っている。
運命とかまで言っちゃって、可笑しくて小さく笑ってしまった。
そんな私に麗美は、とても真剣な表情で問いかけてきた。
「あゆな。正直に答えて。今、あゆなの本当の気持ちは、どこにあるの？」
『本当の、気持ち…？』
「例えば、斗真とは付き合っていないとしよう。そうしたら、あゆなは誰を選ぶ？」
もし、斗真と付き合っていなかったら…？
自由に好きな人を選べるとしたら…？
そんなの…決まってる。
『…それは…――理人さん…だよ…でも――』
私はどうしても、斗真を突き放せない。
「――だよね。安心した。まぁ、後はなるようになるよ！」
『…え…』
「だって、運命は動き出したんだ。もう引き返せない」
満面の笑みでそう告げる麗美に、私が理人さんと出逢った事がとても意味深いことなんだと、何となく理解はした。
だけど、それがどういう事なのか、本当の意味では解っていなかったんだ…――
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作者名：夢梨 | 作成日時：2018年11月4日 15時
