21 望まぬ出逢い〈？side〉 ページ21
最近、あゆなが色っぽい。
元々凄く可愛いけど、今はそこに更に色気を伴っていて魅力的すぎて堪らない。
ところ構わず抱きしめて唇を奪ってしまいそうだ。
そして、そのまま…――
以前は可愛いとはいえ、ここまでじゃなかった。
並んで歩いていても今じゃ、すれ違う男がことごとく、あゆなに視線を奪われて振り返っていく。
あゆなは全く気がついていない…。
それがまた危なっかしい。
こんなんじゃ、すぐ男に襲われるだろ。
そういう、何となく感じる違和感を不思議に思いながらも車を走らせ、あゆなの実家の前へ停めた。
一緒に家の中に入り、リビングで待っていようと思ったら、そこで最も望まない出逢いが待っていた。
あゆなの家のリビングで、ソファーに座っていたのは…
――兵長ッ…！！
間違いない。
以前より背も高くて、目の鋭さも緩んでいるけど、この人はリヴァイ兵長だ。
俺には前世の記憶がある。
あゆなに出逢った時は、本当に嬉しかった。
嬉しすぎて、昔と同じように、うっかり抱きしめてしまったくらいだ。
だけど、あゆなには記憶が無かった。
だから当然、「何するの！」と、突き飛ばされた。
それでも、俺の気持ちは前世から持ち越していたから、あゆながユズアだと分かってて告白した。
どうやらその頃は、兵長とは再会していなかったようだった。
なのに…。
再会したのは、恐らく最近だろう。
やっぱり、兵長と出逢った事が関係あるんだろうか。
何か歯車が動き出したみたいに、あゆなはあの頃のユズアに近づいている。
本人には自覚も無ければ、前世の記憶も無い。
なのに、兵長に惹かれていっているのは間違いない。
さっきの兵長を見るあゆなの瞳に、熱が込められているのは明白だった。
あゆなは、それを必死に隠しているけど、前世の記憶を持つ俺には丸分かりだ。
兵長と付き合っていたユズアと同じ表情だったから。
だけど今は、壁の中のあの世界とは違う。
俺達も変わった。
今、ユズアと付き合っているのは俺だ。
もう兵長とは上下関係は無いから、遠慮する必要も無い。
だから…。
「兵長、俺が誰だか分かりますよね」
すぐに後を追いかけて、遠い昔、途方もなく憧れた未だに頼もしい力強い背中に、静かに声をかけた。
俺が追いかけてくることを察知していたらしい兵長は、ゆっくりと振り返り、眉根を寄せて目を細めた。
「…ああ。あゆなの相手がお前だったとはな……エレン――」
*
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作者名：夢梨 | 作成日時：2018年11月4日 15時
