17 家族の思い出〈リヴァイside〉 ページ17
「兄貴ッ!俺に怒ったって意味ねぇだろ!」
あゆなが男の家に泊まる…その光景を鮮明に想像してしまい、つい怒りの矛先が目の前のレオンに向かった。
温泉に一泊するのだって「そういう事」なのに、自宅となると何故か余計に気に食わねぇ。
無意識に胸ぐらを強く締め付けて掴み上げていて、レオンが目を白黒させている。
我に返りパッと手を離すと、レオンはその場に崩れ落ち軽く咳き込んだ。
「レオン、平気か。すまない…つい…」
「…ゴホッ…明日は着替えを取りに、夕方に一度戻るらしい」
「そうか」
「…はぁ…変わらねぇな兄貴は…。ユズアの事になると見境ねぇ…」
「…あぁ。自分でも良く分かってる。…仕方ねぇ。明日の夕方また来る」
「…だよな。彼氏がいるからって諦めねぇよな、兄貴は」
「当たり前だ。相手が誰だろうと必ず取り返す。誰にも渡さねぇ…お前にもな、レオン」
「ッ!?…なんだ、気づいたのか…」
「あぁ…写真を見てたらな…。お前ともう一人の兄らしきガキの赤ん坊の頃の写真はあるのに、あゆなの写真は突然、6〜7歳くらいからだ」
振り返り、もう一度並べられた写真達を眺めた。
ゆっくりと立ち上がったレオンが言葉を繋げる。
「あゆなは、養子なんだ。両親がある日突然連れてきた。親友の子だけど、自分達の子として俺達と一緒に育てるって」
「…アイツは…憶えてるのか…」
「…いや…。この家に来た日の事も、何故家族がいないのかも全部、記憶がねぇんだ。だから、あゆなは…自分はこの家に生まれたと…俺達を本当の家族だと…そう信じてる」
「この写真を見たら、いくら記憶が無くても薄々気づくんじゃねぇか?」
「あぁ。だから、母親が嘘をついた。あゆなの小さな頃の写真は、田舎の祖父母の家に預けている間に小さな家事で焼けてしまったってな」
「…は…なんだ、そりゃ…」
結局、生まれ変わっても家族を失うことは変わらねぇのか…。
あの日…
ウォール・マリア奪還作戦。
成功し、ユズアが生きて帰って来ていたら、近い内に結婚して「家族」になろうと考えていた。
作戦決行の前日の夜…身体を繋げた後、ユズアと話していた事だ。
お互い独りの俺達が一緒になり、「家族」を末広がりにすればいい。
この国は良くも悪くも、驚くほど自由だ。
望めば、自分の努力次第で何でも実現出来る。
だから…。
ユズアが…あゆなが他の誰かの元にいるなら、必ず俺の方へ連れ戻す。
俺を見るあゆなの表情で分かる。
アイツだってそれを、本当は望んでいる筈だ。
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作者名:夢梨 | 作成日時:2018年11月4日 15時