11 ペナルティ〈ﾘｳﾞｧｲside〉 ページ11
「やぁ、リヴァイ。来週の月曜日から４日間、よろしくな」
朝イチの便のフライトから戻ったばかりの俺に、エルヴィンが声をかけてきた。
この後から明日の日曜日まで休み、月曜日からまたこいつとロスへフライトだ。
エルヴィンが明らかに俺とのタッグを多くしているフライトスケジュール。
まぁ、俺もこいつとの方がやり易いが…。
「…で、ユズアとは逢えたのか？」
「あぁ…まぁな…相変わらず記憶はねぇが…」
「それなんだが…。恐らく、あの生と死の狭間の世界での事が関係していると思う」
「…は？何の話だ」
突然、死後の真っ白な世界の事を話し出したエルヴィン。
その世界での事が何だってんだ。
「…確か、一定期間を過ごした後、すぐに転生しなければペナルティが課せられた筈だ」
「…ペナルティ…それは何だ？」
「記憶の消失だ。俺達エルディア人は『道』で記憶が繋がっているだろう。その『道』を断たれるようだ」
「何故、そんな事をお前が知っている」
「俺もユズアと同様、一定期間を過ごした後、ある人を迎えに行くのを待っていた」
「お前は記憶を取り戻してるじゃねぇか」
「まぁ色々と…な…方法はある」
胡散臭い笑みで最終的なところをはぐらかす…。
まさか、こいつ…ッ
あの狭間の世界の番人を手懐けたのか…！？
いや、何か弱味でも握って脅したに違いない。
遠い昔、俺にしたみたいに、ひとつしかねぇ選択肢を選ばせたんだろう。
「…で、記憶を取り戻す方法はあるんだろ？」
「無くはない…だが、転生した今となっては…難しいだろうな」
珍しくエルヴィンが眉根を寄せた。
「死んだ時と同じ状況になれば、記憶は取り戻せるらしい。それが、唯一の方法だ」
同じ状況…ッ！？
死の危険を伴うじゃねぇかッ！！
あの時、ユズアはほぼ即死だった。
抱きしめてやることしか出来なかった。
巨人化の注射を打つという手もあったが、それは調査兵団の兵士長として、最後の切り札に取っておかなければならなかった。
同じ状況になんて絶対にさせねぇ。
記憶が無くたって、もう一度俺に気持ちを向かせてみせる。
「ところで、凛花がお前に全く相手にされないと嘆いていたぞ」
「あ？凛花？…あいつとはそんな関係じゃねぇ」
「彼女はそうは思ってないみたいだが…」
「…ﾁｯ…うぜぇ…」
「お前が自分で招いた事態だろう」
あぁ、そうだな。
一度だけと懇願されて、愛も無いのに抱いたのは俺だ。
行為に没頭することで、ユズアに逢えないもどかしさや苛立ちを紛らそうとした。
ただ、それだけだった…――
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作者名：夢梨 | 作成日時：2018年11月4日 15時
