トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ26)

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トリップ70日目ページ26

～Aside～

私達はすたすたと帰る賢治君の後をオロオロしながら着いていった

敦「ちょ、ちょっと。どう考えても嘘でしょ！あいつらが犯人だよ！例えば敵対組織を攻撃するために爆弾で始末したとか………」

止めに入る敦君の言うことはごもとっもだ。それでも賢治君はやつらの言葉を信じている

賢治「でも知らないって云ってましたよ？」

敦「云ってたけども……」

賢治「牛でも人でも村でも都会でも素直に気持ちを話せば通じ合えるものです。僕はこの遣り方で失敗したことがありません」

これで失敗しなかった？じゃあどうやって犯人を…。まさか本当に違う人だったとかそういうパターン？でも聞かれて「はいそうです」と素直に答える人の方が希……

A「ねぇラファエル。これ放置で大丈夫？犯人捕り逃したりとか…」

こそりと耳打ちすると、ラファエルはにっこり微笑み頷いた

ラファエル「大丈夫。原作通り進んでいるさ。ただまぁ……出来れば僕はこの話に絡みたくはなかったな」

……何でだ。この後何が起こるんだ……

ラファエルの一言でたちまち不安に駈られる中、ぐうううと誰かの腹の虫が盛大に鳴った

それは私……ではなく、賢治君だった

賢治「帰りに牛丼屋に寄りましょう。お腹減っちゃって」

敦「あはは」

微笑ましい現状に、ふっと頬が緩む。なんだ、安心して良さそうだ

そもそもラファエルが絡みたくなかっただけだ。天使としては原作に絡みたくないのは当然といえば当然。特別な理由はないに違いない

敦「賢治君牛飼ってたんでしょ？食べられるの？」

敦君の問いに賢治君は明るく笑いながら答えた

賢治「牛は大好きですよ。飼うのも触れあうのも食べるのも」

何だかマッドサイエンティストの様なことを笑顔で言う賢治君は、少年だけど強者なのかもしれない

ふと私は、気になったことを賢治君に訊ねた

A「賢治君。賢治君の異能力ってどんなのなの？」

賢治「僕の能力は……」

賢治君が答えようとしたとき、私達の周りを車が包囲した

そして車の中から、先程ビルにいた男達が出てきた

「真逆探偵ごときに嗅ぎ付けられるとはな……。大した尋問もなく帰ったってぇ事は何か決定的な証拠を見つけたか」

気づけば十数人のヤクザ達が武器を持って私達を追い詰めていた

……が

賢治「そうでしたか！本当の事を正直に話すためにご足労頂くなんて……嬉しいです！」

……は？

私含め、一同が声を揃えた瞬間だった