つかの間の優しさ ページ5
「おい本多」
『......なんですか』
「その荷物寄越せ」
『.........どうぞ』
きぃ君と出くわした日以来、半井が異様に私の荷物を持ってくれるようになりました。
有難いけど今までの私への態度からは考えられないくらい紳士な姿に正直怯えてる。
きぃ君のことは私の兄だと紹介したが、きぃ君には半井の紹介をし損なった。おかげで未だに私の彼氏ではないかと疑われている。
まったく、不本意で、とても、面倒なことである。
「なんですか、あの光景。
最近ずっと半井さんってAさんにあんな感じですよね、何があったんでしょう」
「ん〜、
半井にもAを大切にする心が芽生えたんじゃないですか?」
「やっとか、
随分長いことかかったな。
良かったな、本多」
『全然良くない御影助けて...
ここ最近ずっとこんなで正直気味が悪い』
単なる優しさから荷物を持ってくれる人はこんなに愛想悪くない。そして睨んでくることもない。
ほんと、ここまで半井が私の荷物を持つことに執着されると怖い。
なに、そんなにきぃ君に馬鹿にされたことが悔しかったの?
大丈夫、お前はきぃ君に言われるずっと前から私への扱いクズだったから!
今さら気にすんなよ!
「おい本多」
『なんでしょう』
「それ貸せ。持つ」
『いや私が持ってるの資料1束だけだから』
「いいから貸せ」
『えぇ......』
もうなんなんだよ。
過保護かよお前。
『あの、半井、
そんなに荷物気にしなくていいよ。
その、ほら、ダイエットになるから』
「はあ? この脂肪はどう見てもそれっぽっちのダイエットなんかじゃ落ちないだろ」
『んなこたわかってんだよ!
いいから私に気を遣うな!不気味!
以上! いだ、いだだだ』
やだ、すごい力で頭掴まれてる。こういう流れ何回目だよ。痛みで頭割れる。そろそろ本多死ぬよ。
「......じゃあお前の兄に言っとけ。
私は荷物を持ってくれる優しい同僚に恵まれてます、ってな」
『わかったわかった言っとくよ』
こうして半井の異常なまでの荷物持ちは幕を閉じた。
というわけでBBQ開催の日はもちろん私が重い食料全部運んだよね。
うん、クソが。
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NONAME(プロフ) - この作品3年前からずっと読んでて久々に見たら更新されてて泣きました!!更新待ってます!頑張ってください! (2020年8月26日 0時) (レス) id: c3aeec0d97 (このIDを非表示/違反報告)
飴 - お久しぶりです…!小学生の頃から読んでます!久しぶりに読んでて、続編出たの嬉しいです!!更新楽しみに待ってます! (2020年6月18日 21時) (レス) id: 0c30fb771a (このIDを非表示/違反報告)
ぽん(プロフ) - 最近鈴屋班ブームが再来して何度も読んでます!!更新まってます!! (2020年5月25日 20時) (レス) id: 18609d445c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 更新待ってます (2020年3月11日 0時) (レス) id: 9445939c84 (このIDを非表示/違反報告)
はんばーぐ(プロフ) - ユキさん» 面白いと言って頂けてすごく嬉しいです!笑ってもらえる小説が書けてて良かったです笑 これからも更新は亀ですが頑張らせて頂きます(>ω<。) (2019年9月7日 2時) (レス) id: 31ca078cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はんばーぐ | 作成日時:2019年8月9日 4時