朝、目が覚めたら君がいて ページ44
目を覚ましたと理解したのは、君が小さくなっていたからだ。
ここは店のスタッフ用休憩スペースだろうか。
簡易ベッドから身を起こし、近くのテーブルの上……人形サイズのベッドで眠っている彼を見守る。
彼は目を閉じ、ちゃんと息をしていて、なんだか少し安心した。
余程疲れているのか暫く目を覚ましそうに無かったため、音をあまり立てないようにベッドを抜け出す。
痛みは無い。
よくよく見れば傷跡も、なんなら治療の痕跡もない程、私の体は綺麗だった。
改めて人間ではない店員に軽く不安を覚えつつも、自身の制服に酷めのシワが出来てしまった事を恥じる。
帰ったら洗濯してアイロンも掛けておかなければ。
治療して寝泊まりまでさせてもらったのだから文句のつけようが無いし、着替えさせて欲しかったのかと言われれば勿論NOだが、なんとなく店員なら魔法みたいな力でその辺りもどうにか出来そうなものなのにな。
「実験体として観察する上でそこは支障が無い部分だと判断しておりますねぇ」
……ナチュラルに思考を読まないで欲しいし、いつの間にか背後に立たないで欲しい。
そろそろ慣れるかと思っていた店員ドッキリ(彼には一切その意図は無さそうだが)に肩を跳ね上げつつ振り返れば、花京院の分も含めた朝食らしきものが乗ったトレーを手にした店員が、いつもよりダルそうにテーブルへと歩を進めている。
もしかしたら朝に弱いのかもしれない。
「えっと……おはようございます。色々とすみません……」
小さく頭を下げるも、店員は半目開きのまま頭を搔くだけだ。
なんだコイツ、とでも言いたげな視線を向けられるのは心外である。
「そもそもこの観察が無ければ、貴方は怪我をすることは無かったんですよ……ここはそういう世界線でしたからねぇ」
生きた花京院に会わなければ、それはもう今頃夜通しゲームなりなんなりしていただろうし、昼夜逆転待ったナシな生活をしていたところだろう。
あんな怖い思いだってきっとしなかった。
それでも私はこうして生きているし、動かない花京院よりも生きて動いている彼と会えたことは本当に得難く、素晴らしい経験だと思っている。
だから花京院と会わなければ、なんてことは絶対に考えないだろうな。
気の抜けた相槌を打ちつつ、泡立っているようにやたらともけもけしている目玉焼きっぽいものに視線を落とす。
店員に起こされたらしい花京院は、胴体を鷲掴みにされて不服そうにしていた。
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アーディ(プロフ) - Fukuminさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。まだ完結出来ていないので更新頑張りますね！ (11月20日 0時) (
レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
Fukumin(プロフ) - 初コメ失礼します。いや本当に素敵です。好きです(( 主人公ちゃんと花京院との相性は最高に良きです。最高ですありがとうございます!! (11月20日 0時) (レス) @page6 id: 4c4c4d178d (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» いつもコメントありがとうございます。お陰様で50話埋まりましたので、続きが書け次第続編へ移行させていただきます。小ささ故に守れないもどかしさで花京院は苦しみそうな予感……のんびりお待ちください〜 (2023年1月18日 0時) (レス) @page50 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - 夢主ちゃんの健気さと花京院のカッコよさにきゅんとしてしまいます。冬に夏のお話も乙なものですね。更新楽しみにしています。 (2023年1月18日 0時) (レス) @page49 id: 798df1e4bf (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - 更新が遅すぎて冬場に夏の話をしています、作者です。小説内の暑さと現実の寒さをいい感じに合わせて暖を取っていただければと思います(？)もう少しで50話なのでがんばりたいですね。皆様風邪など召されませんよう。 (2023年1月14日 9時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2018年7月8日 20時
