距離を感じる君と ページ29
「どう、ですか･･････？」
「似合ってるよ」
無意識に店員から貰ったカメラでシャッターを切った。
シンプルな服でもスタイリッシュに見える花京院マジック。
最高オブ最高。
表情を押し殺すためにほぼ真顔になっているせいか花京院の反応がどこか訝しげだが、好感度的な意味での問題は無いだろう。
テクテクと机の上で動いて着心地を確認している姿は癒しの極みである。
しかしこう、どこかかわいらしく写ってしまうのは花京院の容姿がどうとかではなく、ひとえにボタンの大きさのせいではなかろうか。
花京院サイズのボタン代わりになりそうなものを所持していなかったので、裁縫セットに押し込んでいた小さめのボタンを使ったのだが、やはり大きい。
かわいらしいのが悪い訳では無いが、無駄にボタンが大きいと着替えるのも大変だろう。
今度はもっとシンプルなTシャツを作るべきかもしれない。
いや、作ろう。
ほとんど友人頼りだけど。
「ところでAさん･･････授業の予習、復習が終わった後って、お暇ですか？」
少し一人の世界に浸っていた頭を戻し、花京院の言葉を脳内で咀嚼する。
予習復習？
真面目かな？
いや知ってたけど、そうじゃなくて。
花京院から何かしらのお誘いやお願いなんかをされるとは思っていなかったので内心非常に動揺しているのである。
「超絶暇だよ。どうしたの？」
「実はAさんに頼みたいことがありまして･･････」
「････････････」
花京院の合図がある度に私はページを捲る。
その目線の先は「ジョジョの奇妙な冒険」ファントムブラッドだ。
一人で読むのは体力的な意味で厳しかったらしく、こうして私は漫画を開きページを捲る係を任されている。
読むなら三部かと思ったが、どうせなら初めから読みたかったそうだ。
ディオが出てきた瞬間あからさまに顔を顰めたり、スピードワゴンを見てすぐ仲間になることを察したような顔をしたりと、コロコロと表情が変わるのが愛らしい。
聞きたいことがあるような顔もするが、花京院は何も口にしないのが少しもどかしかった。
思っていることを声に出して交流してくれたら、もう少し距離を縮められそうな気はするのだが、友達でもないのにそこまで心を開いてはくれないだろう。
今の私はあくまでも同居人兼世話係のようなものであって、彼にとってはそれ以上でもそれ以下でもないのだ。
同年代にも関わらず未だ苗字呼びなので、それは確かだと思った。
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アーディ(プロフ) - Fukuminさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。まだ完結出来ていないので更新頑張りますね！ (11月20日 0時) (
レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
Fukumin(プロフ) - 初コメ失礼します。いや本当に素敵です。好きです(( 主人公ちゃんと花京院との相性は最高に良きです。最高ですありがとうございます!! (11月20日 0時) (レス) @page6 id: 4c4c4d178d (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» いつもコメントありがとうございます。お陰様で50話埋まりましたので、続きが書け次第続編へ移行させていただきます。小ささ故に守れないもどかしさで花京院は苦しみそうな予感……のんびりお待ちください〜 (2023年1月18日 0時) (レス) @page50 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - 夢主ちゃんの健気さと花京院のカッコよさにきゅんとしてしまいます。冬に夏のお話も乙なものですね。更新楽しみにしています。 (2023年1月18日 0時) (レス) @page49 id: 798df1e4bf (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - 更新が遅すぎて冬場に夏の話をしています、作者です。小説内の暑さと現実の寒さをいい感じに合わせて暖を取っていただければと思います(？)もう少しで50話なのでがんばりたいですね。皆様風邪など召されませんよう。 (2023年1月14日 9時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2018年7月8日 20時
