小さな僕の、小さな冒険�� ページ20
「･･････よし」
保冷バッグからAさんに作っていただいたおにぎりを取り出し、僕用のリュックサックに詰める。
お茶を水筒に汲み、肩から提げると僕は窓を目指した。
幸い、今僕がいる机は壁につく形で配置されているため、高ささえクリアすれば窓までは到達することができる。
そこは彼女の置いていってくれた漫画を並べ、段として使うことで乗り越えたが、問題はクレセント錠だ。
僕の身長では手を伸ばしても、まずそこまで届くことは無い。
ハイエロファントがいれば何とかなったかもしれないが、今は僕の体一つでどうにかしなければならないだろう。
机の上を見渡し、使えそうなものを探す。
･･････ヘアゴムか。
「お借りします」と呟き、クレセント錠に投げて引っ掛ける。
後はこれを引っ張れば
「おっと」
錠が下りた衝撃でバランスを少し崩したものの、なんとか落ちずに済んだ。
これも「幸運」のお陰だろうか。
例の店員らしき男が言っていた「幸運100」というのは、ゲームのパラメータのようなものなのだろう。
上限は恐らく100。
と、すると、幸運の隣の数字は「確率」を意味するのではないかと思う。
僕がやっているゲームはもっぱらゲーム機を用いたものだったが、テーブルゲームも少しかじったことがある。
遊ぶのには人数がいるとわかった瞬間漬物石代わりになった･･････ルールブックがあったような気がするが、そのルールを適用するとしたら、「確率＝成功率」だ。
100%中100%で成功するということはつまり、「幸運が求められる行動において、僕は全て自動成功する」ということ。
完全に運任せであればじゃんけんは負け無しだろうし、当たり付きの物を買えば必ず当たりが出る。
簡単に言うと、僕は今そんな状態にあるのだろう。
そうだと信じているからこそ、僕はこれから出掛けようとしている。
「よい、しょっ」
かなり重い窓をスライドさせ、網戸まで開く。
ここから屋根まで飛び降りるのも、そこから地面に降り立つのも苦労しそうだ。
改めて小さな身体の不便さにため息をついていると、屋根と屋根が重なって影になっている部分で暑さを凌いで寝ているらしい黒猫を見つけた。
猫もこちらに気付いたらしく、パッと顔を上げてこちらを見る。
誰かさんを思わせる青い瞳。
大きさ的に襲われたら死んでしまうかもしれないな、なんて呑気なことを考えながら、僕は猫と数秒見つめ合っていた。
やがて、猫はのそりと立ち上がる。
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アーディ(プロフ) - Fukuminさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。まだ完結出来ていないので更新頑張りますね！ (11月20日 0時) (
レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
Fukumin(プロフ) - 初コメ失礼します。いや本当に素敵です。好きです(( 主人公ちゃんと花京院との相性は最高に良きです。最高ですありがとうございます!! (11月20日 0時) (レス) @page6 id: 4c4c4d178d (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - くろねこ1227さん» いつもコメントありがとうございます。お陰様で50話埋まりましたので、続きが書け次第続編へ移行させていただきます。小ささ故に守れないもどかしさで花京院は苦しみそうな予感……のんびりお待ちください〜 (2023年1月18日 0時) (レス) @page50 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ1227(プロフ) - 夢主ちゃんの健気さと花京院のカッコよさにきゅんとしてしまいます。冬に夏のお話も乙なものですね。更新楽しみにしています。 (2023年1月18日 0時) (レス) @page49 id: 798df1e4bf (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - 更新が遅すぎて冬場に夏の話をしています、作者です。小説内の暑さと現実の寒さをいい感じに合わせて暖を取っていただければと思います(？)もう少しで50話なのでがんばりたいですね。皆様風邪など召されませんよう。 (2023年1月14日 9時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2018年7月8日 20時
