34*聞いてよお話 ページ34
いくらでも待てますって言ったのはどこの誰だよ。
折角答えが見つかるかもしれないって、気持ちの整理が出来そうだったのに。
赤坂柚希が失踪してから3日が経過した。
*
3日前、いつも通りの時間で彼のいる場所を探した。
大抵同じ場所か、人が多いと少し離れた場所に移動して待ち伏せされている。
ところがその日は彼の姿はなかった。
別に待ってるわけじゃないけど、私が先に行ったら彼は泣きついてくるかもしれない。
しかしぎりぎりまで待ったが、赤坂の姿はなく、私はそのまま一人で会社に向かった。
「あれ、赤坂君は?」
「いなかった。寝坊してるんじゃないの」
「赤坂君が。珍しい」
この時私たちは「寝坊するなんて珍しい」ぐらいにしか思っていなかった。
しかし、
「佐倉ちゃん、山田ちゃん。赤坂君と連絡取れないか?」
「え、まだ連絡取れないんですか」
「彼にずっと電話かけてるんだけど、一向に出る気配がなくて」
部長が慌ててほかの社員にも連絡はつかないか聞きまわっていた。
もう3時間は経過しているというのに、赤坂は来ていない。
しかも無断で、一切連絡なし。
普段真面目に仕事している彼がばっくれるなんて、と社内で騒めきだす。
「・・・何で」
彼は追い詰められていたのだろうか。
私の電話にすら出ないなんて。
*
会社全体でも一生懸命連絡を取り続けるが、赤坂は3日経っても現れなかった。
この状況に、彼は誘拐されたのではという噂が出始めた。
彼が誘拐された。
そう言われた方がしっくりくる。
赤坂は無断でいなくなる人間じゃないのは、私ですら分かる。
だとしたら警察にも通報しないと。
「赤坂君が無断でいなくなるなんて、あり得ない」
「・・・」
「SNSも3日前からずっと更新もないし、オンラインにすらなってないです」
私はこの状況にいてもたってもいられず、ある人物に電話をした。
もっと早くにこれが出来ればよかった。
*
『・・・もしもし』
赤坂の妹ちゃんの声はどこかやつれてる。
「赤坂とは連絡がつかないんだけど、何か知ってる?・・・いや、きっとそっちにいるのよね?」
『・・・そう、です。私も今・・・あ』
劈く悲鳴と同時に電話が無理矢理切れた。
それだけで一応状況が確認できた。
赤坂は両親に連れ戻されている。
「佐倉ちゃん、何か手掛かりが・・・」
「赤坂が、両親の元に連れ去られたのだけは分かったわ」
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ルリアイス(プロフ) - 夢魔さん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2020年1月11日 0時) (レス) id: 0fcb288ad8 (このIDを非表示/違反報告)
夢魔 - 凄く面白かったです! これからも応援してます!! (2020年1月10日 23時) (レス) id: f6b046dcfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルリ☆アイス | 作成日時:2019年10月28日 22時