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八話 わからない ページ10

貴方視点





次の日。私は学校を休んだ。
ストレスと頭痛によって、動けなかったのだ。


憂鬱な気分でベッドの中に潜ると、インターホンの音が聞こえた。



カメラ越しに相手を見た私は驚きで声が出なかった。


何せ、外にいたのは黄瀬涼太だったのだ。

──────────────────────

黄瀬視点



聖葉院さんが学校を休んだ。
別に、珍しいことではない。

なのに嫌な胸騒ぎがした。



昨日、家に帰ろうと歩き出した彼女の背中が
どうしたって儚くて壊れてしまいそうで怖かった。



黄瀬「先生、腹痛いんで早退します!」


授業中にもかかわらずそう叫んだオレは、
必死に走って昨日のコンビニまで行った。



……彼女の服は部屋着に近かったし、徒歩だったので家はここから遠くないはず。



そうやって表札を探していけば「聖葉院」なんて
珍しい名字はすぐに見つかった。


少し震える手でオレはインターホンを押した。



するとしばらくしてでてきたのは、やはり聖葉院
さんだった。


信じられないという顔をする彼女。


そんな彼女とはまた別の意味でオレは絶句した。




……彼女の手首にひかれた朱色の線。



黄瀬「聖、葉院さん?その手……」


「、……!?」




嫌な胸騒ぎが大きくなった。



黄瀬「ちょっと、お邪魔するっス。」



彼女の制止も振り切って部屋に上がると、そこには
散乱したカッター、包丁、縄があった。




黄瀬「嘘、っスよね……」


「……出てって。」


黄瀬「ねぇ聖葉院さん……どうして……」



オレは俯く彼女に問いかけた。



けれど顔を上げた彼女の瞳を見て声が出なくなった。


そして一言

「黄瀬には、わからない」



そう言った。

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桜庭暁(プロフ) - みかげさん» だよね……死にたいって思ってもやっぱり生きたいって何処かでそう思えてるなら大丈夫!!少なくとも私はみかげの味方だしね!応援してくれてありがとう!頑張るよ! (2018年7月30日 21時) (レス) id: ab5fb01835 (このIDを非表示/違反報告)
みかげ - 私も結構死にたいけど、誰かに助けを求めてたり、自分でも気付かないうちに誰も助けてくれないって分かってるのに、無意識に周りに助けを求めてたりするから。案外夢主ちゃんの気持ちがよく分かるよ。暗い長文ごめんね!暁!大変だと思うけど更新頑張って!応援してるよ (2018年7月30日 18時) (レス) id: 9a6b1a518e (このIDを非表示/違反報告)
桜庭暁(プロフ) - 雪菜さん» 有難いお言葉です……!雪菜さんのような方がいてくださるから、私も頑張れます。更新、頑張るので楽しみにしていてください! (2018年7月14日 21時) (レス) id: ab5fb01835 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜 - わー!黄瀬くんだ!暁先生の作品大好きです!更新楽しみに待ってますっ! (2018年7月14日 18時) (レス) id: 45e2886869 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠花 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年3月30日 15時

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