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「この子たちを生かしておいても、厄介なことにしかならないと思いますけどね」
私たちに視線を投げかけながら、例の戦闘狂さんが云った。
それから薬研の方を振り返って続ける。
「しかもあっちの子はあれと互角に戦ってたし。危険極まりないと思いますよ」
まあ、付喪神である薬研を殺せる人間など存在しないが。
「とにかく殺せばいいってもんじゃねえだろ。……こいつらの処分は帰ってから決める」
「俺は副長の判断に賛成です。ここに長く留まれば他の者に見つかるかもしれない」
一くんとやらは、土方さんとやらに答えてから、自分が斬った死体に眼を落として呟いた。
「こうも血に狂うとは……やはり実務に使える代物ではないようです」
「……頭の痛ぇ話だ」
土方さんとやらは同意するように云って、感情のこもらぬ眼差しを足元に向けた。
それから不意に顔を歪め、苛立たし気に他の二人を睨みつけた。
「つうかお前ら。土方とか副長とか呼んでんじゃねえよ。伏せろ」
「ええー? 伏せるも何も、この隊服を着てる時点でバレバレだと思いますけど」
……はて。
私は、心の中で首を捻った。
そもそも私は、世間に疎い。
鶴丸を初めとする、悪戯好きの刀剣たちが運ぶ報せだけで、基本的には驚くのに十分なのだから。
それ以上のことがあったら、きっと長谷部の胃に穴が開いてしまうことだろう。
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Chris(プロフ) - 魔導士カリナさん» コメントありがとうございます! 文体好きって言って貰えてすごく嬉しいです。応援……?! もうありがとうございますの一言に尽きます……。 (2017年4月3日 7時) (レス) id: 2c836ec423 (このIDを非表示/違反報告)
魔導士カリナ(プロフ) - Chrisさん!イベント参加、ありがとうございました!私が言って良いのか分かりませんが...私、Chrisさんの文体とか凄く好きなんです。もしよろしければ、これからも作品を応援させていただいて宜しいでしょうか...? (2017年4月2日 23時) (レス) id: 0cf79671fa (このIDを非表示/違反報告)
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