マダラの妹其ノ二百七 ページ7
・・・・・・
「朝って好きなんだよね。
一日が始まるって感じがするし、今日も生きているんだなって思えるからさ」
鉛筆と絵の具、それとスケッチブックを片手に持ちながらポツリと呟く。
残念ながら日はまだ昇ってはいないが、あと一時間もすれば太陽が地平線の向こうから顔を覗かせることだろう。
久し振りに……本当に、久し振りに絵を描こうと思って私の部屋の奥で眠っていた画材を引っ張り出して持ってきていた。
まあ、今回の任務でサイが加わるって知ってたから仲良くなれるかと思って持ってきていたってのもあるけど。
「………もちろん、褒めてくれたからってのもあるがね〜」
スケッチブックを広げ、真っ白な世界に線を書き足す。
特にテーマは決めずに、筆が進むままにどんどん描き進めていく。
輪郭を描き、顔を描き、髪を描き……兎に角夢中で書き続ける。私が満足出来る一枚を描く為に。
そうして気付いたら夜は明けて、太陽がおはようを告げていた。
夜が明けても絵は完成せず、私の記憶の中に生き続けるその人物を必死になって描き続ける。
描いては消し、描いてはやり直し、描いては納得出来ず、描いてはページを破る。
私が納得出来る絵を、ひたすらただ描き続ける。
短い黒髪は柔らかくて、夏の空を閉じ込めた様な青い瞳は誰よりも綺麗で、翼を得たかの様に自由に飛んでいる姿は眩しくて、今でも憧れている。
彼の笑顔は、今でもハッキリと覚えている。
「───どうして泣いているの？」
.
マダラの妹其ノ二百八(サイsaid)→←マダラの妹其ノ二百六
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 502人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉ねぎ - 続き気になります(/≧◇≦＼) (2023年2月14日 0時) (
レス) @page29 id: 76ae9f90b3 (このIDを非表示/違反報告)
ろいど(プロフ) - 一気読みしました！！！！更新楽しみに待っています！！！！！！ (2022年8月18日 20時) (レス) id: 5682104901 (このIDを非表示/違反報告)
夜月(プロフ) - めっちゃ続きが気になります。更新楽しみにしてます (2022年7月30日 23時) (レス) @page29 id: f649cf9af2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっち - 面白かったです。更新頑張って下さい (2022年4月6日 12時) (レス) @page29 id: f8c9fe1d36 (このIDを非表示/違反報告)
レキ(プロフ) - 蜜柑さん» コメントありがとうございます！更新がかなり遅くなってますけど、完結するまで頑張ります！ (2021年1月8日 22時) (レス) id: 5b6cdc722a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レキ | 作成日時：2020年6月11日 18時
