うちはマダラの妹に生まれ変わったんだけど誰か助けろて下さい−原作編2−【NARUTO】

マダラの妹其ノ百十一 ページ11

　
食後、任務完了まで居候させてもらってるので皿洗いを手伝っていると、サクラちゃんが壁に掛けてある写真について疑問を零した。

本人はただ純粋に少し気になっただけなんだろう。

…明らかに意図して破かれた写真なんだからワケありだと察せるだろうサクラちゃん…。

案の定イナリはリビングから出て行ってしまいツナミさんも後を追って出て行った。

「…なにか訳ありの様ですね」

一連の流れを見たカカシ先生はタズナさんに視線を向けるとそう言った。
サクラちゃんは悪い事を聞いてしまったと思ったのか、それ以上の発言はしなかった。

タズナさんは語り始めた。この町でかつて"英雄"と呼ばれた男の生涯を。

男の名は"カイザ"。国外から夢を求めてやって来た漁師だった。いじめられていたイナリを助けた恩人でもある。

ある日のことだ。大雨が降った事で川の堰が開いてしまい、D地区が水にのまれてしまう事態に陥った。

だが、カイザは大雨で水かさが増した川の濁流を泳ぎ、堰にロープを掛けたお陰で救ってみせた。まさに彼は"英雄"と呼ぶに相応しい勇気のある男だ。

しかし、ガトーがやって来た所為で、彼は町民とイナリの前で見せしめとして公開処刑された。



それ以来、イナリも、町民も、皆が変わってしまった。



この町の英雄…"勇気の象徴"とも言える人物を喪ってしまった事は、大きな傷を遺し暗い影を落とした。



「(…えーゆう…えーゆうかぁ……)」



ぼんやりとした思考が"英雄"という単語をやけに強く残した。



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