人見知りが鳴狐に成り代わったら鳴狐でしかなかった (ページ3)

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3話ページ3

______パチっ

目を開け、ぼんやりとした視界をはっきりさせる為にゴシゴシと擦る
上半身を起き上がらせると、背中や肩の骨がバキバキと音を立てた

お供「おぉ！目が覚めましたか鳴狐！どうやら、他の本丸に保護された様ですなぁ」

うんうんと感慨深そうに言うお供は先程より毛並みが良さそうに見えて
ふと、自分の体を見ると傷が完全に塞がっていた。つーか治ってた

鳴狐「きれい…」

あ、これはナルシストに入らないよね？
だって外見鳴狐だし。美しいのは当たり前だよね、鳴狐だから

一期「鳴狐殿。目が覚めましたか。お体の調子はよろしいでしょうか？」

ほわっ！？

いきなり障子が開いたかと思うと
澄んだ空みたいな髪の色をしたロイヤルプリンス一期一振が微笑みを浮かべて問いかけてきた

鳴狐「…っえ…ぁ」

なんて言えばいいんだっけー。
「大丈夫です」とか「元気百倍！」とか？
ううん。ダメだ鳴狐のイメージと合わん

一期「……鳴狐殿。お茶をどうぞ」

いつの間にか作られていたお茶をすすめられ
震える手で受け取り、ペコリと目を合わさずにお辞儀した

だ、だって、いきなり話しかけられてどう返せばいいかわかんないし……
相手、刀とは言っても神様だし……あ。今は私も神様なのかな？？

イケメンだしさ。

一期「鳴狐殿は、何故あの様な所で就寝を？」

鳴狐「帰り道が、わからなかったから……」

一期「…そう、ですか。」

ロイヤルプリンスは俯いてしまって表情がわからないが
怒らせた様ではないので、気まずい空気から数秒でも逃れる為に茶をすする

一期「……落ち着きましたか？」

鳴狐「え…ぁ。はい」

そっか、お茶をすすめてくれたのは落ち着かせるためか
わざわざ申し訳ない。ありがとうございます

一期「っ…鳴狐殿。その……主に会えますか？」

おうふっ。そんな捨てられた子犬みたいな目で見ないで・・・
それなん会うしかないやろが！

鳴狐「会える」

一期「そうですか！よかった……主は大広間にいますので、そこまでご一緒します」

鳴狐「あり、とう」

あちゃー！「ありゃあと」みたいな発音でお礼しちゃったよっ！
恥ずかスィー

一期「お気になさらず。では、行きますか」

鳴狐「・・・」

本体をしっかり確認して、お供が肩に乗ると
やっと私は立ち上がり、ロイヤルプリンスの後を付いていった