【仁王雅治】悪いことだってわかってる

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先輩と会うのは５年ぶりぐらいだろうか
何も変わってないといいな



‥でも最悪だ
会える日が私の出張が終わってからしか
ダメだったから私服では無く
スーツで会うことになった





新幹線から降り、
待ち合わせには時間があるから
化粧室で身なりを直す





『大丈夫だよね』



うん、ホコリもついてない
疲れ顔は見せられないから笑顔でいかないと




私は待ち合わせ場所に急いだ





・






心臓がうるさい


手に汗が‥



携帯に着信があった
で、電話だと‥！？



私は一呼吸おいて応答ボタンを押した



「おまえさん、どこにおる？」


変わってない、先輩の声だ



『えっと、目印に‥』



電話で一生懸命自分の位置を伝える



「ほう、スーツか。」



電子音の声ではない、
後ろから先輩の声がして
振り返る




『先輩‥お久しぶりです』


「おう、さ、飯でもいくか。車、持ってくるからまってな」



先輩もスーツだった



カッコいい‥オシャレだし
後ろの襟足切ったんだ






‥車もいい匂いがする
先輩のにおいだ




「‥Aちゃん、なーに変なこと考えてるんじゃ？」



『か、考えてないですよ！？』



「ほー？」



ニヤリと顔を歪ませせ、クルマを運転している
先輩の横顔に見とれてしまう





‥久しぶりにドキドキしている
この感覚心地いい




・



「のぉ、Aちゃんは彼氏おるんか？」




飲んでいたお茶を吹き出しそうになった


『‥いますよ』



ここは嘘がつけなかった


「‥ほぉ、いいんか？今、ここにいて」



『‥大丈夫です。先輩とは友達なんで』



「まぁ、そうじゃの」



なんで彼氏がいるのかって聞いたのだろうか
気になるけど聞けない




『‥先輩はどうなんですか？』



「‥おらんよ」



『どのくらいですか』



「二年ほど」



『意外ですね』





「もう、しばらくは女はこりごりじゃ」


先輩はため息をつき、肩を落とす


『‥なんかあったんですか？』



「聞かせてあげるぜよ」




『‥聞かせて下さい』

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