15 警戒心剥き出し ページ16
ご飯の買い物を終えて、日が沈みそうな時間。今から急いで作れば、昨日三途さんが帰ってきた時間帯に出来上がりそうだ。
「あ、昨日の美人ちゃんじゃん!」
背後から声が聞こえて振り返るとあの2人がいた。
「えっと……灰谷さん?」
2人の存在感が大きすぎて、私の存在している姿が吞み込まれてしまいそうだ。スーツを着こなして2人並んでいるとIT企業とかで働いているサラリーマンにしか見えなかった。
けれどこの2人も……三途さん側の界隈の人なんだよね。
「いや俺等どっちも灰谷だから。俺が竜胆な。」
「で、俺が蘭くんで〜す。」
蘭くんだと名乗る人は一見真面目そうな雰囲気なのに、お茶目な自己紹介をする人だった。竜胆だと名乗る人は……見た目通りの人。
こんな人混みの中で私の姿を見つけるなんて殆どありえない。……しかも、昨日初めて会った私を見つけるなんて。
三途さんの近くにいるから、私を警戒しているのか。それとも私を排除しようとしているのか。……何を考えているのかは全く理解出来ない。
「美人さんの名前はなんていうの?」
「……東雲Aです。」
「へぇ〜Aちゃんって言うんだ。名前も可愛いんだね。」
……何を企んでる?私の警戒心を解いてから何か仕掛けてくるつもりなのか。警戒心は絶対に解かない。一瞬の隙も見せたらいけない。
「Aちゃんって三途の何なの?」
やっぱり三途さんと私の関係を探ろうとしているんだ。……確かに、何度も思うけれど。私と三途さんの関係って何なんだろう?知り合いでもなければ友達でもない。ましてやそれ以上の存在でもない。なんて答えるのが正解なんだろう。
「……わかんないです。」
「え〜三途の女じゃねえの?アイツが家に連れ込むなんて相当気に入ってると思うんだけど。」
ちょっとした好奇心で聞かれているだけなのか、私の存在を探ろうとしているのかわからなくなってくる。でもそれも警戒を解くための彼等の戦術かもしれない。
「そんなに身構えなくても何もしねえよ。」
「えっ。」
「警戒心剥き出し。まあ俺等みたいな反社の人間を警戒しない訳ねえか。」
ケタケタと呑気に灰谷さん達は顔を見合わせて笑っている。なんだか調子を狂わされてしまうなあ。
「そういう訳じゃ……。」
図星をつかれて言い訳を考えようとしていたが、何も浮かんでこなくて口を噤んでしまう。
「わかりやすいな。ま、三途の近くにいたら今後も会うかもな。」
そう言って彼等は去っていった。
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モック - 完結おめでとうございます!物語中の春千夜君がかなりヤバくて(語彙力www)最高でした! 応援してます! (2022年9月24日 10時) (レス) @page50 id: 17f5259717 (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 来夢さん» コメントありがとうございます!本当に嬉しいお言葉ありがとうございます。大変恐縮です……!これからも面白いと思って頂ける作品が書けたらと思います! (2022年2月19日 0時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - 完結おめでとうございます、そしてお疲れ様でした🙇♂とても最高でした!私にはこんな神作作れないので羨ましい限りです😭あ、作者様の春千夜くんドタイプでした!これからもずっと応援させて頂きますので、よろしくお願い致します🤲 (2022年2月15日 3時) (レス) id: e2197c2b6d (このIDを非表示/違反報告)
さきな。(プロフ) - 楸さん» コメントありがとうございます。自分にとっても楽しくかけた小説でした♪スランプに陥って書いては消してを繰り返しておりますが、自分の納得した作品が出来て書き続けられたらまた別作品を見ていただけたらと思います。 (2022年2月14日 1時) (レス) id: 74c94643cf (このIDを非表示/違反報告)
楸(プロフ) - 完結おめでとうございます!!マジで最後の方はあ゛あ゛泣って感じで一人で焦ってたんですけど、あらぁ!!って終わり方でもう兎に角大好きです!!語彙力が行方不明になるくらい素敵な作品ありがとうございました!! (2022年2月14日 1時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2021年12月12日 0時