私と彼と②【ダイヤのA】 (ページ8)

今日:12 hit、昨日:27 hit、合計:45,264 hit

55話ページ8

.

－－－－後日

「ごめん、待ったか？」

『ううん、私もさっき来たとこだよ』

ちょうど直近で、オフの日があり、一也くんと映画を観に行くことにした。倉持先輩には、春市くんにもって用意してくれたけど、期待させるような事はしたくなかったから、誘わなかった。

期間短いし…チケット無駄になっちゃうかも。

「久々に見たな、私服姿」

『この前、寮に来た時、見たでしょ？』

「あれは、わりとラフな格好だったろ？」

『まあ、あの日は…』

「今日は、気合入れてるし」

『なっ…！！』

「だってスカートなんて、しかも、わりと丈短いし」

『へっ変態！！メガネ！！』

メガネに罪はないだろ、なんて会話しながら映画館に向かう。
久しぶりだな、2人で出かけるなんて。
といっても、バッティングセンターばっかりだったんだけどね。こういう本格的にデートっぽいことするのは、実は初めてだから、どうすればいいのかわからない。

「ん？」

そういえば、一也くんの私服姿も久しぶりだ。
イケメンの部類に入るだけあって格好も様になっている。
さっきから通行人がチラチラ見ているし。

「見惚れてんの？」

『なっ！！』

「ま、何考えてんのか、わかんねーけど、とりあえず気楽にいこーぜ」

一也くんが気を利かせて、私に伝える。
あ、こういうところがチームにとって頼りにもなるし、好きだな、と思わせる。
私含めて、女の子相手だったらイチコロなんだろうな。

なんやかんや、映画は、自分が気になっていた恋愛モノを観ることにした。

別に映画を観てどうとか、いい雰囲気に持っていこうというのは、全く考えてなかったけど。ポップコーンとドリンクを買って、席に着く。すると、

「さくらでも恋愛モノ観るんだな」

『……』

一也くんは、私を何だと思っているのだろうか？

私だって女の子だ、キュンキュンしたり、したいだろ。JKだよ？そりゃ知り合った当初は、活発な方だったし、オシャレがどうとか、気にする方ではなかったけど。高校生にもなれば化粧もするようには、なるよ。

多分、私と同じように、一也くんも、中学時代の私で止まってるんだろうな。

「怒った？」

『いえ』

「やっぱ怒ってんじゃん」

『怒ってない』

やっぱ一也くんは、意地悪だ。
本当はわかってるくせに、ワザとだ。
顔に書いてある。

そんな人は、ほっといて、映画に集中しよ。

.