私と彼と②【ダイヤのA】 (ページ6)

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53話ページ6

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「倉持先輩」

「お、沢村」

「さくらどうでした？」

寮へ戻ると、早々に沢村が楠について聞いてきた。

「珍しいよな」

「なにがっすか」

「楠のこと、それに、弟くんと御幸のこと」

「もやもやした気持ちで、野球してほしくないんすよ」

「そうだな、でもまさか沢村から言われるなんて思ってもなかったわ」

そう、俺が楠に声をかけたのも、コイツの提案だ。
沢村なりに、なんとかしたかったのだろう。
でも自分が不器用ってのはわかってるみたいで、俺に託したようだ。
この考えが野球にもいい方向にいけばいいのになーなんて。

「あとは、楠次第だ」

「はい！」

「変にちょっかいかけて墓穴掘るんじゃねーぞ」

「わかってますとも！！！」

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栄純くんに言われなかったら、気づかないフリをしていたかも。

一也くんと、春市くんがよくないことになってること。まさか、私が原因？なんて。なんとか出来るのは、私しかいない。

とりあえず、予定を合わせて、2人をお誘いしないと。春市くんは、明日、学校で会った時に声をかけてみよう。一也くんは、学校では学年も違うから、メッセージでも…って。

「で、俺んとこに連絡してきたと？」

『ごめん、鳴、忙しいところ』

「連絡してきてくれたのは、嬉しいけど、内容が一也じゃなー…教えようか迷うなー」

『そんな不貞腐れないでよー、お願い！』

「で、なんで一也？」

やっぱり、というべきか。

鳴は、一也くんとのことを聞いてきた。いつ言おうか迷ってたけど、なかなかあっちも忙しいと思って、出来ずにいた。なるべくなら直接会って話したかったから。

「そっかー！」

『鳴？』

「じゃあ頑張ってね、さくら」

『頑張るって何を？』

「そんなん決まってるでしょ、で、俺の出番はもう無いのは改めてわかったし」

『…ごめん』

「もー！謝らないの！せっかく潔くしてるのに、俺がいつまでもネチネチしてるみたいじゃん！」

そんな簡単に諦められるほど、軽い気持ちの好意じゃなかったんだけど、なんて、鳴は悲しげに言う。

「だからといって、シカトとかダメだよ！ちゃんと友達として仲良くしてよね！ご飯とか行こうね！あ、あと、一也に捨てられたりとか、飽きたらすぐ俺がもらってあげるからね！」

『私は、モノではないよ？』

もー！わかってないー！
そんなこと言ってると連絡先教えてあげないよ？
なんて言ってきた。

それは、困るなー。

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